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ファンの「期待外れ」を覆すため、
整い始めたダルビッシュの体と心。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byAFLO
posted2019/02/03 11:30
ダルビッシュはカブスのコンベンションで地元の子どもたちと交流し、朗らかな表情を見せた。
ファンからの率直な意見。
そんなコンベンションのロビーで、カブスのファン歴が長いとみられる白髪の男性に「あなたは去年のダルビッシュを期待外れだと思っているのか?」と質問すると、こんな率直な返答に出くわした。
「もちろん期待外れだ……俺は嘘はつかない。でも去年は終わり、2019年はもう始まっているんだ。大事なのは今の彼(ダルビッシュ)が健康で、シカゴに帰ってくるということだと思うよ」
祖母の影響でカブス・ファンになったという彼は、「6年1億2600万ドル」や「1勝3敗、防御率4.95」という数字を口にした一方で、「I don't like negative bu☆☆s▲△t.(ネガティブなことは嫌いなんだ)」と言った。大事なのは「今」なのだ、と。
「マインド的にも凄く良い」
ダルビッシュの「今」――。
それは“ファン感”での彼自身の言葉を借りると、こうなる。
「ボールを投げ始めたのが12月10日ぐらいで、明日、120フィート投げます。ピッチングは来週の金曜日から。予定で行けば3、4回ぐらいブルペン(投球練習)で投げてキャンプインなので、みんなと同じように普通の状態で入っていける」
実際、彼はその数日後に自身のツイッターで室内での「軽め」の投球練習を披露している。このコラムの配信時には、もっと本格的な投球練習も始めているはずだ。
「去年、今までの人生でもトップクラスの痛みがあったのに、ずっと我慢して投げていたから(今回)最初にキャッチボールした時は怖かった。でも、投げるにつれて痛くないってことが分かってきたし、今では怪我する前と変わらないって分かっている。マインド的にも凄く良いから、今は早くスプリングトレーニングが始まって欲しいなと思っている」
マインド的に、というのは少し説明が必要かも知れない。
理由は2つある。1つはここ何年か「トレーニングをすると、なぜか体がおかしくなっていた」こと。疲れやすくなったり、イライラしたり、ネガティブな気持ちになっていた。ところが今オフ、リハビリのために長期間トレーニングを休んでみると、以前のような感覚がなくなっていたという。
「日常生活でも体調が良くなってきたなという気がします」