マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
高校野球が失った1人の「逸材」。
日大三高で小枝守監督と邂逅した日。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2019/01/29 08:00
小枝守監督が清宮幸太郎、安田尚憲などが揃ったチームを率いてU18ワールドカップを戦ったのは記憶に新しい。
40年前のお詫びを伝えると……。
日大三高で6年、拓大紅陵で30年以上監督を務めた後、おととし2017年には「U-18ベースボールワールドカップ」の侍ジャパン代表監督として采配を振るった。
取材活動の中でお話しする機会が何度かあって、その何度目かの時に、40数年前の「お詫びごと」の話を持ち出してみた。
「ああっ!」と、小枝監督にしては大きな声を出されたので驚いた。
「実は、記者たちの中に顔を見た時から、誰だったっけなぁ……と思っていたんです」
そうおっしゃって、
「あの時の学生さんでしたか……いやね、ほら、おでこのコレが私とおんなじだったんでね、覚えてたんですよ、なかなかいませんものね」
ひたいの真ん中あたり。色の薄くなったホクロを指差しながら、小枝監督、なんだそうだったのか! と、ノドに刺さった小骨がとれたような顔でおかしそうに笑ってくださったのが、ついこのあいだのような気がしている。合掌。