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脱臼は完治していないが戦線復帰。
Bリーグ川崎・辻直人の復活はいつ?
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph byB.LEAGUE
posted2019/01/26 08:00
辻直人は復帰後2試合目の富山戦で12得点を決めた。ケガ続きだった悔しさを晴らす準備は整いつつある。
「まだコンタクトが……」
その中で辻は13分55秒の出場にとどまり、5得点。横浜の追撃を受けた時間帯も辻の名前が呼ばれることはなく、第4クォーターは1秒もコートに立っていない。出場時間が少なかった理由を、北卓也ヘッドコーチは「ゲーム勘とコンディションの両方」と説明する。
「練習はできていますが、まだコンディションは100%ではないですし、今はオフェンス重視になっていて、まだコンタクト(接触)が怖いのかなと思います。練習からディフェンスがハードにできるようになれば完全復活かなと。
辻の力はこれから必ず必要になってきます。今は控えですが、本来の彼の力が戻ってくれば『スタートで』ということになるかもしれません。そこはチーム内の競争で、彼には期待しています」
横浜に追い上げられた場面は、辻の3ポイントで相手の勢いを断ち切ることもできたはずだった。
この試合、川崎は3ポイントを15本放って成功は3本のみ。そんな時こそ辻のシュート力に頼りたくなりそうなものだが、「詰められた時に『ディフェンスをやらないと』と思って」(北ヘッドコーチ)辻の起用は見送られた。
「焦らずに」と言い聞かせて。
天皇杯も含めて復帰3試合目であることを考えれば、実績のある辻といえどもこの判断はやむを得ないだろう。
当の辻自身も、前日に少し体調を崩していたことを明かした上で「ケガした部分もまだ完治はしていないですし、1カ月半くらい休んでいたのでゲーム勘もまだまだ。今日に関しては体調も考えてもらったのかなと思います」と、この試合の自身の起用法を素直に受け入れている様子だった。
100%のコンディションに戻っているどころか、まだ痛みも完全には消えていないという状況で試合に出場する。うがった見方をすれば復帰を急いだと言える。
しかし本人は、「まだチャンピオンシップまでは時間があるので、『焦らずに』と自分に言い聞かせている。1試合1試合パフォーマンスを上げていって、ゲーム勘を戻そうと思ってやっています」と語る。今の辻の糧となっているのは、過去の苦い経験だ。