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内海哲也は西武でも謙虚な好青年。
天狗になりかけたプロ1年目の改心。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/01/26 09:00
西武第二球場での自主トレを公開した内海。ランニングや遠投、ノックで汗を流した。
プロ1年目にあった「改心」。
読売ジャイアンツという日本一の人気球団に在籍しながら、こうして誰からも一目置かれる人間性を作ったルーツは、いったいどこにあるのか、内海に聞いてみた。
「僕は自分のことを“すごい”と思ったことがないんですよ。最多勝も、たまたまだと思っています」
2010年から4シーズン連続で2桁勝利を記録し、通算133勝を挙げている球界のエースが、大真面目な顔で言った。
それでも、入団1年目、天狗になりかけたことがあったと振り返る。
「自由獲得枠で巨人に入って、当時の僕は入っただけで満足して、あまり練習をやらなくて……。そのときに『しょうもないことしてたらアカンな』と改心しました」
おばあちゃんを思い出して。
内海に初心を取り戻させてくれたのは当時、ガンで闘病中だった祖母の存在だ。
「もともとおばあちゃんが末期ガンで闘病していて、もうあと数カ月だと言われていたんです。僕が巨人に入団したときも、無理して入団発表に来てくれて、『がんばってね』『テレビで応援するよ』と言ってくれた。それなのに、僕はプロに入っただけで満足して、努力もせず、結局、一軍で投げている姿をおばあちゃんに見せられなかったんです」
内海の晴れ姿を見る前に祖母は他界した。
「おばあちゃんに見せたかったのに、僕は遊んでた。投げる姿を見せられなかった。なんてばかなことをしたんだと思いましたよ。あの後悔だけは二度としたくないなって思って……」
内海はその1年目の出来事をきっかけに、プロとしてのあるべき姿に気づいたそうだ。
それ以来、ずっとその後悔を忘れていないという。