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大坂なおみが「感情の揺れ」を克服。
かつてお手本にしたプリスコバ超え。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2019/01/24 18:10
敗戦後も感情をあらわにせず、淡々とコートを去ったプリスコバ。しかし試合の中では大坂の方が冷静だった。
大坂のメンタリティが完全に一流に。
もう少しで欲しいものが手に入りそうなのに、つかみきれない。そのもどかしさ。感情がラケットにたたきつけられる。
するとアンフォーストエラーが2本続き、大坂は苦しいゲームをキープする。
プリスコバのネガティブなサインは、負の連鎖を生む。そのまま第3ゲームが始まり、プリスコバは第2セットの大坂と同様、なんとラブゲームでのブレイクを許してしまった。
ブレイクチャンスは「両刃の剣」なのだ。
そのチャンスを逃すと、自分のサービスゲームが始まるまでに気持ちを整えなければ、自らピンチを招くことになる。わずか数分間の感情の揺らぎが、タイトルの行方を左右する。
トロントで、プリスコバのスタイルから学びを得てから17カ月。
プリスコバとの4度目の対戦を見ると、大坂のメンタリティは紛れもなくトッププロのものになった。
揺らぎの少ない、プリスコバをグランドスラムの舞台で仕留めたのだから。