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大坂なおみとセリーナは再会するか。
誰もが納得する「決着」を全豪で。
text by
内田暁Akatsuki Uchida
photograph byAFLO
posted2019/01/18 17:30
全豪を順調に勝ち上がる大坂なおみ。セリーナと今大会で対峙することはあるのだろうか。
「殺し屋の本能」をめぐるディベート。
そんな両者が、昨年の全米オープン時に交わした「ディベート」に、次のようなテーマがあった。
「“Killer Instinct(=殺し屋の本能)”とは何か――?」
それは「相手の弱点を見つけ、ためらうことなくそこを付き、トドメを刺す能力」だとシラーは定義する。そのディベートの場に、バインも居合わせた。
大坂は、コーチに聞く。
「あなたも“Killer Instinct”を持っているの?」
ない――そのコーチの返答を聞き、大坂は「どうして? ないなら、なぜテニスをやっていたの?」と不思議そうに問い返したという。
シラーは“Killer Instinct”を、「他人に与えられるものではなく、持って生まれる才能だ」とも規定した。
「セリーナは、持っている。オフコートのなおみには、まるでない。だがコートに立ったら、彼女は変わる。コート上の彼女は“殺し屋の本能”の持ち主だ」。
セリーナに鋼の肉体を授けたトレーナーは、まだ少女のあどけなさを残すシャイなアスリートの中に、天賦の才を見出していた。
全豪で戦うとすれば、準決勝。
昨年3月末――マイアミ・オープンで大坂は、セリーナと初戦で当たるドローに入る。スマートフォンを立ち上げその事実を確認するや、大坂は「やった!」と歓喜の声を上げた。この初の対戦では、復帰後まもないセリーナを、大坂が圧倒する。
2度目に大坂がセリーナと対戦したのは、全米オープンの決勝戦。幼少期から幾度も夢に見たそのステージは、幾つかの主審の判定を巡り我を忘れたセリーナが、ゲームペナルティまで取られるという後味の悪い幕切れで終わっている。
昨年だけで2度の象徴的な対戦がありながらも、誰もが納得のいく形での決着は、まだペンディング状態だ。セリーナの背に手を伸ばし続けるかのような大坂の1つの旅も、まだ終点に達していない。
3度目の対戦が全豪オープンで実現するとなれば、それは、準決勝での舞台となる。