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賛否両論の超高校級シューター、
富永啓生は和製カリーになれるか。
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byYuki Suenaga
posted2019/01/14 10:00
ビッグマンの留学生が2位以下に並ぶなか、6試合で計239得点で得点王となった富永。
シュート、ガッツポーズ連発。
筆者が富永のプレーを初めて見たのは、彼の高校における全国デビュー戦となった高校2年時のインターハイだった。
2回戦の北陸高校戦。華奢な坊主頭の少年が繰り広げるプレーに、あっけにとられた。パスをもらったらひたすらシュート。外れてもおかまいなしにシュート。確実に決められるレイアップシュートが基本の速攻ですら3ポイントシュートを選択する様子に「無茶苦茶だ」と思った一方で、シュートに対する強いこだわりと、それを貫く潔さに感動すら覚えた。
シュートを決めたあとには、やたらとガッツポーズを繰り出した。お役御免でベンチに下がった後もチームメートのプレーに一喜一憂し、他選手が取材を受ける様子を、好奇心を隠せない表情で凝視していた。そうした子どものように素直な感情表現も、好ましく映った。
アジア選手権でも一躍注目。
その年の11月には、大きなターニングポイントが訪れる。当時、アンダーカテゴリー男子日本代表を統括していたトーステン・ロイブル氏が、富永の才能を見出し、ほぼメンバーが固まりかけていたU16日本代表に緊急招集したのだ。
日本バスケットボール協会のレポートによると、身長の伸びが著しくプレーが不安定だった富永は、スカウトの網になかなか引っかからなかったのだという。国内外の多くの才能を発掘・育成してきたロイブル氏ですらも、富永との出会いに「ダイヤモンドを発見した」と興奮を隠せない様子だったと記述されている。
U16アジア選手権では総得点で4位につける活躍を見せ、昨年8月に開催されたU18アジア選手権でも同様の成績。U18では出場選手中わずか3人にとどまった、1試合平均20得点達成者の1人にもなっている。
FIBAのU18アジア選手権特設ページには、富永にフォーカスしたレポート記事が掲載されていた。そこにはこんな一文があった。
「富永のシュートが炸裂する様子は、この大会で最もわくわくすることの1つだ」
富永のシュートは日本のみならず、アジアでも注目を浴びる存在となった。