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賛否両論の超高校級シューター、
富永啓生は和製カリーになれるか。
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byYuki Suenaga
posted2019/01/14 10:00
ビッグマンの留学生が2位以下に並ぶなか、6試合で計239得点で得点王となった富永。
幼少の頃からシュート大好き。
「小さいころからシュートが大好きでした」
富永はそう振り返る。
日本代表で活躍した父と、実業団でならした母のもとに生まれ、暇さえあればシュートを打っているような子どもだった。幼少期のシューティングを動画で見る機会があったが、同世代が低いリングと小さなボールを使っている時に、富永は顔よりも大きな大人用のボールを、正規の高さのリングに軽々と投げ、沈めていった。
そのセンスは当時から確実に備わっていた。
江崎コーチは、富永の天才的なシュート力を育てるために、あえてシュート以外のプレーを求めなかったと明かす。
「普通、『ここはパスだろう』というところもあるじゃないですか。他の選手には練習から厳しく状況判断を指導しましたが、あいつだけには一切言わずに、『シュート、シュート、決めてこい』。これを徹底しました。他の選手たちには随分我慢をさせたけれど、啓生はチームどうのこうの以上に、日の丸を背負って活躍してほしいシューターだから」
憧れはカリーやハーデン。
チームメートは富永がシュートを打ちやすい状況を作るために動き、富永は自身がシュートを打つことを第一に考えてプレーする。そんな環境の中で富永はドライブやマークを外す動き方を覚え、代表活動ではパスやディフェンスの技術も学んだ。
1試合最高得点は68得点。3ポイント成功数は12本。自己中心的に見えるプレーは、あくまでチームのルールに則ってデザインされたものだということは、ぜひわかってほしいところだ。
憧れの選手はNBA屈指の名シューターであるステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)やジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)。映像を繰り返し見て、カリーからはシュートレンジにかかわらず決めきるシュート力やディフェンスの外し方、ハーデンからはステップバックシュートなどを学んでいるという。
手を大きく広げて走ったり、体をリズミカルに震わせたり。シュート後の派手なパフォーマンスもカリーの影響。オリジナルのものだというが「カリーを意識しちゃうところはあります」と、少し照れ臭そうに明かした。