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名古屋を退団した玉田圭司の告白。
38歳が気づいた「アップデート」。
posted2018/12/30 11:00
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
J.LEAGUE
2度目の別れだった。
玉田圭司は2014年オフに一度、名古屋グランパスとの契約が満了となり、翌年からセレッソ大阪に移籍した。
2年の月日が経ち、2017年。再び名古屋のユニフォームに袖を通し、昨季はクラブのJ1昇格に貢献。今季もリーグ戦34試合中24試合に出場(先発は19試合)。元ブラジル代表FWで今季J1得点王に輝いたジョーやガブリエル・シャビエルらとともに、名古屋の攻撃陣を担った。
38歳。サッカー選手としては当然若くはない。そして今オフ、玉田は再び名古屋から退団することになった。
クラブリリースに記されていたコメントと、本人が自身のSNSで綴った言葉には、正直温度差があった。ここに少しSNSの文面を紹介する。
「あまりにも(退団が)突然だったので正直、頭を整理するのに少し時間がかかりました…。2014年に1度退団し、その2年後に帰ってきて名古屋グランパスに誠心誠意を持ってやってきましたが、契約しないと伝えられた時には労いの言葉の1つもなかったことにはがっかりしました」(本人SNSのまま)
その後は前向きな言葉を連ね、明るく文を締めていた。
元々、口数は多くないが、自分の感情は真っ直ぐに発する男。SNSに記した言葉も、とても感情的なものだった。その表現方法にはいろいろな意見も飛ぶだろうが、それが今の本心であることに変わりはない。
自ら「年齢も年齢だし」。
目の前にした玉田は、思いの外スッキリとした表情で、明るかった。
「プロの世界のことだから、仕方ないことだってあるよ。自分が切られたことに関して、もちろん悔しさはあるけど、それはしょうがないという思いだってあるから。年齢も年齢だし、こういう立場になるのは、長くやっていれば誰もが通るところでもあるだろうし」
自ら齢の話を切り出したことは意外だった。数年前までは、「サッカーは年齢でやるスポーツではない」と自信満々に胸を張っていた。ただ、プロの世界、いくら選手自身がそう思い、信じていても、雇い主であるクラブ側は年々、確実に重なっていく数字を無視しづらいところはある。
もう、彼も長くこの世界にいるのである。抗いたくても抗えない立場の変化を、理解している。