野球クロスロードBACK NUMBER
波乱万丈だった東北楽天の2018年。
新監督と共に冬を越え芽吹きを待つ。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2018/12/27 11:30
ホームスタジアムの今季最終戦。大勢の観客に感謝の念を伝えた平石洋介監督代行(当時)。新監督の思いは、確かにファンに伝わった!
平石新監督が新たな芽を育てる時。
若手とベテランの融合。
平石体制となってから37勝41敗2分。確かに、意地と結果を印象付けた。岸が4年ぶりの2ケタ勝利に初の最優秀防御率とゴールデン・グラブ賞。則本も史上3人目の5年連続奪三振王。松井も9月に遅ればせながら史上最年少で通算100セーブを記録と、主力も見せ場を作った。大ブレークのリードオフマン・田中は新人王。「でも、来年どうなるかわかりませんよ」。その危機感が頼もしい。
平石監督代行が、新たな種を蒔く。
'19年は晴れて新監督となる。小谷野栄一にゴメス改め後藤武敏。苦楽を共にした松坂世代の同志を呼び寄せ、コーチ陣を刷新とアグレッシブに改革を進める。
9月に就任した石井一久GMも飄々と人脈を駆使する。FA市場の目玉である西武の浅村栄斗を招聘。広島から福井優也もトレードで獲得し、アラン・ブセニッツ、ジャバリ・ブラッシュと、投打で外国人も補強するなど戦力強化に余念がない。期待。未知数。様々な種が、楽天生命パーク宮城で芽吹く時を待つ。
「感謝、感謝に尽きます」
'18年、それはもう、大勢のファンがスタジアムに足を運んでくれた。
年間で172万6004人。連敗しても、最下位でもチームの雄姿をその目に焼き付ける。「ありがとう。そして、すみません」。嶋と岡島の言葉が胸にしみる。
新監督も「感謝、感謝に尽きます」と頭を垂れる。でも、すぐに自分を強く戒める。
「ファンに甘えちゃダメです。胡坐をかかず勝利を目指す。来年は勝ちます!」
まるで、リバプールのユルゲン・クロップのような熱さで拳を握る。
「聞いたことがあります。サッカーの監督ですよね? 熱い方なんですね。自分もね、来年はもっと、もっと熱さを出しますんで」
新監督のもと、楽天はリベンジの旅へと向かう。勝つに越したことはない。仮に負けても、全東北はいつだって楽天の味方である。
「You'll Never Walk Alone」
君は独りじゃない。クリムゾンレッド一色で奏でよう、竜飛崎から磐梯山まで。
羽ばたけ楽天イーグルス!