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波乱万丈だった東北楽天の2018年。
新監督と共に冬を越え芽吹きを待つ。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byKyodo News

posted2018/12/27 11:30

波乱万丈だった東北楽天の2018年。新監督と共に冬を越え芽吹きを待つ。<Number Web> photograph by Kyodo News

ホームスタジアムの今季最終戦。大勢の観客に感謝の念を伝えた平石洋介監督代行(当時)。新監督の思いは、確かにファンに伝わった!

負の連鎖が続き、梨田監督辞任へ。

 おかしい。

 先発の柱である則本昂大が打ち込まれる。絶対的守護神・松井裕樹、「ミスター60試合登板」の福山博之が精彩を欠く。不動の4番であり、「ハクション大魔王」のごとき愛くるしい笑顔でファンを魅了する、ゼラス・ウィーラーから豪快なアーチが消える。'17年にあれだけトラックマンを悩ませた、カルロス・ペギー(ペゲーロ)のライナーも弾道が高い。

 3月、4月は9カード連続で勝ち越しなし。5月上旬には自力優勝の可能性が消滅。

 やはり、おかしい。

 負の連鎖はまだ続く。6月。借金20と苦しむチームの責任を取り、梨田監督が辞任した。「引き継いでくださる監督さんに頑張っていただいて」。寂しげな声が響く。連敗しても、ミスが続いても常に表に立ち、報道陣に丁寧に対応してくれたその優しさ、忘れません。勝負とは、かくも厳しいものである。

 すぐに平石洋介ヘッド兼打撃コーチが監督代行に昇格した。松坂世代初の監督。論理的。頭は冷静なのに、闘志はいつだって燃えたぎっている。そこがいい。

若手とベテランが競うように活躍!

「ファイティングポーズをとって戦っていかないとダメだ!」

 青年監督代行がチームを鼓舞する。

 気を吐く若手。

 売り出し中の田中和基に、茂木栄五郎、島内宏明。誰が名付けた「タナモギアイランド」。ルーキーの山崎剛と西巻賢二、3年目の村林一輝も参戦する二遊間の熾烈なポジション争い。山崎、西巻、村林。軽快なゴロ捌き。語呂もいい。

 負けじと意地を見せる熟練者たち。

 35歳の4番・今江年晶が快音を連発。33歳の岸孝之も苦しむ投手陣で孤軍奮闘。そんな矢先のアマちゃん(ジャフェット・アマダー)の離脱。

 ドーピング疑惑に「身に覚えがありません」。当然だ。193センチ、135キロの恵まれた体躯、限りないパワーから繰り出された'17年の23本塁打をどう説明する。主砲の穴埋めとばかりに、オープン戦首位打者以降、眠っていた5年目・内田靖人のバットが火を噴く。高卒生え抜き初の2ケタ本塁打。和製大砲、目覚めの時。

【次ページ】 平石新監督が新たな芽を育てる時。

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