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高校バスケの祭典ウインターカップ。
“ネクスト八村塁、渡邊雄太”は誰だ。
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byMiho Aoki
posted2018/12/26 07:00
尽誠学園時代の渡邊雄太。今やNBAプレーヤーとなった彼もウインターカップでプレーした1人だ。
桜丘・富永という有望株。
バスケットファンの間ではおなじみのエピソードだが、渡邊は中学時代は小柄な選手だった。入学時の身長は160cm。そこから3年間で一気に30cm伸び、高校卒業時に2mを超えた。
中学であらかた身長の伸びが止まる女子に比べ、男子は渡邊のように成長が人より遅いタイプも少なくない。
その1人が今大会屈指のポイントゲッターに挙げられている愛知・桜丘高校の富永啓生だろう。正確無比な3ポイントシュートと物おじしないドライブで得点を積み上げ、U16、U18日本代表の欠かせない戦力として活躍。初めての出場となるウインターカップで「1試合60点取る」と豪語してはばからない。
富永はトップリーグでプレーした両親を持ちながら、いわゆる名門校からの誘いはなかった。中学時代は身長が小さく、県選抜にも選ばれていないのだから当然だろう。元実業団のヘッドコーチとして富永の母を指導し、家族ぐるみの交友をしていた江崎悟コーチのツテで桜丘に進学している。
江崎コーチは富永についてこう話す。
「中学生のときは本当に小さかったしフィジカルも弱かった。けれどシュートのタッチだけはあって、とにかくシュートを打つ気持ちが強い子だったから、入学してすぐにスタートにして、シューターとして育てました。最初は、ここまでの選手になるとは思ってなかったけれどね」
現在は185cmだが、まだ体が細く、まだ身長も伸びそう。211cmの父を持つだけに、末恐ろしい逸材だ。
馬場雄大が味わった屈辱。
昨年筑波大在学中にアルバルク東京に電撃加入し、現在は日本代表の切り込み隊長としてもブレイク中の馬場雄大。富山第一高校2年時、3年時にウインターカップに出場しているが、いずれも1回戦で敗れている。
特に3年時のウインターカップは、彼にとっては苦い記憶として残っているだろう。大会1カ月前に交通事故に遭遇し腰の骨を骨折、復帰は大会1週間前だった。U18日本代表にも選ばれ、チームの状態も良かっただけに、試合後には苦しいコメントしか出てこなかった。
「ケガの前まで本当にいい状態で『これ、どこまで行くんだろう』って思っていたけれど、僕がチームの和を乱してしまって……本当に何も言えないです。見ている人にも本当に申し訳なかった」