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高橋大輔、不変の魅力とスケート愛。
全日本選手権2位の「先」へ向かって。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2018/12/25 12:30
かつてと変わらぬ芸術性の高さを見せつけた高橋大輔。全日本2位という成績は、ビッグニュースとして世界中で報道された。
「まだ引退しないとは決めています」
一度引退したあと、外からフィギュアスケートを観て、取材する立場で選手たちと接する機会も持った。その時間で培われたフィギュアスケート、そして選手たちへの思いもそこには込められていただろう。
思えば、7月の復帰会見時にも世界選手権に関する質問に、「自分が若い選手の出る機会をとっていいのか」と懸念を示していた。一貫する思いもあった。
今シーズンは、今のところ試合に出る予定はないと言う。
ただし。
「まだ引退しないとは決めています」
きっぱりと語った。
「ふがいない演技だったな、と」
「今日の演技がすごく悔しかったですし、もうちょっとできるはずだという自分が出てきている。すっきり終わりたいですから」
フリーは、練習ではできていたことができなかった。
「ふがいない演技だったな、と」感じた。
だから、表彰台に上がったことも喜べなかった。
「こういう出来で、この場にいたくないというか、自分のすっきりした演技でいたいなと思いました」
このままでは終われない、そんな思いが後押しとなる。
いや、それは1要素に過ぎない。復帰表明後、「こんなこともできる、あれもできるんじゃないかと」、そんな喜びと明るさとともに進んできた。2度目の競技生活の中に、新たな発見があった。もっと行ける、もっと楽しみたい。
そんな思いがある。