One story of the fieldBACK NUMBER
福留を引きずり降ろす若虎はいるか?
金本知憲前監督が描いた理想の行方。
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byKyodo News
posted2018/12/28 11:30
金本監督が去り、福留孝介が残る。阪神の中心が甲子園育ちの生え抜き選手になる日は来るのだろうか。
「阪神の歴史は、外様の歴史だよ」
その澱んだ空気を思い切り吸い込んで、呑み込んで、腹の底から自分色の「氣」を吐き出せる。そうでなければ、福留から椅子を奪うことも、金本さんが望む花を咲かせることもできないだろうと思ってしまう。
「阪神の歴史は、外様の歴史だよ」
球団関係者がこう言ったことがある。
ドン・ブレイザーが来て、ランディ・バースが来て、野村克也が来て、星野仙一が来て、鉄人・金本が来た。タイガースが勝つのは外からの改革者がやってきた後だけだ、と。
つまり、甲子園で生まれた野生の虎などいないのだ、と……。
そんな連鎖にピリオドは打てるのだろうか。それとも、そもそもが絵空事なのだろうか。
騙されやすい“お人好し”という金本さんの自己分析は覆らないのだろうか。