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中村俊輔「今のままじゃ勝てない」
J1参入決定戦3時間前、磐田の真実。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/12/29 11:00
ジュビロのJ1残留は総合力の勝利だった。その中には、中村俊輔の力も確かに存在したのだ。
初めてJリーグでノーゴール。
中村にとっては、ケガに泣かされたシーズンになった。
慢性的な痛みを抱えていた右足首を手術したものの、ケガが続いて4度チームから離脱している。Jリーグでノーゴールに終わったシーズンは初めてだ。
チームが勝つために、いい方向に進むためにはどうすればいいかを考えてきた。チームメイトにも積極的にアドバイスを送ってきた。だが一方で、ケガ続きの自分にむかついてもいた。ピッチのなかでチームに貢献できない自分にむかついてきた。
それはすなわち不安を整理して心の準備をやってきた証拠。ケガに泣いたが、負けたわけではない。負けるつもりもない。この「もがき」が来シーズンにつながるのだと彼は信じている。
40歳になった、ケガも続いた。
降り注ぐ、不安。
だが彼は、中村俊輔はひとつひとつ不安を取り除いてきた。プレーオフは終わりではない、むしろ来シーズンのスタート。
自分自身に、勝つために。
中村俊輔は己にむかついている。だから大丈夫。2019年、健在のファンタジスタが待っている。