JリーグPRESSBACK NUMBER
浦和・山田直輝、またケガと戦って。
梅崎司と田中達也の存在が「支え」。
text by
佐藤亮太Ryota Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2018/12/24 11:00
浦和は天皇杯優勝で来季ACL出場権を獲得した。ケガの癒えた山田直輝にも、チャンスは巡ってくるはずだ。
駒場で久々のゴール。
それでも4日後の天皇杯2回戦Y.S.C.C.横浜戦で“らしさ”を見せた。前半途中から出場した山田は試合終了間際、ダメ押しの3点目を決めた。愛着ある浦和駒場スタジアムでの復帰後初ゴールに「もっともっと山田直輝を見せたい」と声を弾ませた。続くルヴァン杯プレーオフ第2戦でも先発フル出場を果たした。
「目の前に細い糸が垂れ下がってきた。たとえ細くてもしっかり握って登りたい」
ワールドカップに伴う約1カ月の中断期間でレギュラー獲りへ巻き返す――その矢先だった。
6月20日、山田はトレーニング中に負傷。翌日、クラブは「右腓骨骨折、全治約4ヶ月の見込み」と発表。またも戦線離脱を強いられた。
再び山田直輝の姿を見るようになったのは8月上旬のことだった。炎天下、誰もいないピッチの脇を歩き始め、9月中旬からランニングを開始。走る距離は日ごとに長くなった。
ボールを扱うのは左足のみ。それでも山田は「いままでのケガは予定より遅かったけど、今回は早くもなければ遅くもない。順調すぎるくらい順調」と久しぶりに笑みを見せた。
以前と違うケガとの向き合い方。
山田はこれまでシーズンを棒に振るケガを何度も経験した。ここまで重なると、プロサッカー選手ならば自身の不運を恨んでしまうものだろう。山田自身も、同じ思いを持ったことがある。
「若いころ、大ケガをしたとき、言葉では『仕方がない』って言ったけど、本当は『なんで俺なの?』って思っていた」
ただ今回は、今までと違った気構えでケガと向き合った。
「最近は運命を信じるというか……受け入れられるようになった。良いことも悪いことも、ケガしたこともゴールすることも奇跡。(物事は)偶然じゃなくて必然の重なり。だからケガにも絶対、意味があるって考えられるようになった」