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平尾誠二との約束、日本一で結実。
神戸製鋼を変えたカーターと総監督。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/12/19 08:00
2年前に亡くなった“日本ラグビーのレジェンド”平尾誠二氏の遺影を手にするゲームキャプテンの橋本大輝。
平尾さんの遺影を手に。
その言葉の真意は、真冬のファイナルで明らかになった。
赤いジャージーを着た神戸製鋼の選手たちは、ひたすら基本プレーを反復し、タックルしてはすぐ起き上がってポジショニングすることを繰り返し、運動量、フィットネスを看板にするサントリーを完全に制圧した。
かくして、神戸製鋼の復活は成就した。
試合が終わる。表彰式のステージに上がる橋本大輝主将は、2年前に53歳の若さで他界した平尾誠二さんの遺影を手にしていた。
「亡くなる前、ずっと『優勝しよう』と約束していたんです。それが叶って、本当に、これ以上ないくらい嬉しかった」
元号が平成にかわった直後の大会で初優勝を飾った真紅のジャージーは、平成最後の大会で、見事な復活優勝を成し遂げてみせた。
歴史を知り、背負うことで、開ける未来もある。それを知ることのできた、師走の午後だった。