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平尾誠二との約束、日本一で結実。
神戸製鋼を変えたカーターと総監督。
posted2018/12/19 08:00
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Kiichi Matsumoto
真紅のジャージーが、自由自在、縦横無尽に芝の上を駆け回り、次々とインゴールに走り込んだ。
2018年12月15日、快晴の秩父宮ラグビー場で行われたラグビートップリーグ総合順位決定トーナメント兼日本選手権決勝は、神戸製鋼が55-5というビッグスコアで、3連覇を目指したサントリーを破り、優勝を勝ち取った。
トップリーグの優勝は、総当たり戦のみで実施されたリーグ発足元年の2003年度以来15季ぶり。日本選手権優勝は、サントリーとの引き分けで飾った2000年度以来、18季ぶりで、単独での優勝となるとその前年、1999年度以来19季ぶり。21世紀になってからは初めてとなる。
かくも長きにわたり、頂点から遠ざかっていた赤い軍団は、いかにして蘇ったのか。
カーターは恐ろしく謙虚だった。
誰もが「これしかないでしょ」と挙げるファクターは、世界一の司令塔と謳われるダン・カーターの加入だ。
オールブラックスのSOとして112キャップを持ち、ワールドカップには2003年から4大会連続で出場し、2015年には初のワールドカップ連覇を達成した。テストマッチ通算得点1598は世界最多記録。世界ラグビーの統括団体ワールドラグビーの世界最優秀選手賞も3度にわたって受賞している。
たとえるなら、サッカーならメッシ、バスケットならジョーダンのような存在か。
しかし、このスーパースターは、恐ろしいほどに謙虚なのだった。
「新しい国の新しいクラブに行ったときは、そこの新しい仲間に認めてもらうためにハードワークしなければならないんだ」
「7月に日本に来てチームに合流したとき、チームのみんなが、春からハードワークをたくさん重ねてきたことがすぐに分かった。そのチームに対して自分がいかにフィットできるか、貢献できるかということを考えた」