「4代目・山の神」候補の名は。

　ライバルに勝ち、メンバーの座を獲得するには自ら高いレベルの練習を課し、たびたび設定される部内選考レースを勝ち抜かなければならない。余裕をもって練習をクリアし、試合で結果を残した10人でなければ、フレッシュグリーンのたすきをかけて箱根駅伝を走ることは出来ないのだ。

　加えて、今回の16人のメンバーには経験豊富な選手たちがそろっている。なにより、前回の区間賞獲得者が3人も残っているのが心強い。

「花の2区」で山梨学院大学のドミニク・ニャイロ（4年）と同タイムで区間賞を獲得した森田、6区山下りのスペシャリストである小野田勇次（4年）、そして7区で区間新記録を樹立した林奎介（4年）は、前回以上の走りが期待される。

　それに加え、前回は5区で区間5位だった竹石尚人（3年）について、原監督は大きな期待を寄せている。

「竹石は『4代目・山の神』になるんじゃないですか。前回は快調に飛ばしていたのに、終盤に足を攣ってしまい区間5位になりました。順調に走っていたら、いったいどれくらいのタイムが出ていたか。今年はさらに力を伸ばしましたし、竹石に期待してください」

確固たる自信、慢心はない。

　そして、新戦力の台頭も期待できる。

　全日本大学駅伝ではメンバー入りしながらも走ることがかなわなかった岩見秀哉（2年）は、その悔しさをぶつけるように11月に行われた世田谷246ハーフマラソンで、1時間3分13秒の記録で2位に入った。しかもレース中は実業団選手を引っ張る場面も目立ち、自分からレースを作っての2位は高く評価できる。

　この世田谷246ハーフマラソンは、箱根駅伝の選手選考にあたっては重要な意味を持っており、岩見の他にも飯田貴之（1年）が1時間3分39秒、山田滉介（4年）が1時間3分46秒、神林勇太（2年）が1時間3分56秒で走っている。

　1時間3分台といえば、他チームであれば主要区間を任されてもおかしくないタイムだが、青山学院大学では10人のメンバーに入れるかどうかは定かではない。

　これが、青山学院大学の強さである。

　原監督は記者発表会見の席で、恒例の作戦名の発表を行った。

「5連覇や、いろいろ『5』に絡んだことが多いので、今回は『ゴーゴー大作戦』でいきます。郷ひろみさんではありませんが、アチチアチと燃えたぎるような走りをお見せしたいと思います」

　確固たる自信。慢心はそこにない。

　今回もまた、青山学院大学は強い。