岡田「エースにならないと困る」

　日本シリーズはまったく見なかったという。クライマックスシリーズで勝っていれば、おそらく今井にも登板のチャンスがあったはずだ。

「自分があの場面で投げていたかもしれないなんて、まだ全然想像できないです。まずは勝ち星をもっと増やしていかないと。とにかく目の前のことをがんばります」

　シーズン中、多くバッテリーを組んだキャッチャーの岡田雅利は言った。

「一軍での試合を経験するたびに、ギアを入れて投げるところでは、しっかり集中して投げられるようになっていきました。そういった先発投手に必要なメリハリと言いますか、それを誰に教わることなく、自分で気づいて実践している。堂々としているし、高卒2年目で、そういった課題に自分で気づけるのはすごいことだと思いますよ。

　欲を言えば、『この打者にはどんどんストライクを先行していけばいいのにな』と思うこともありましたけど、なんせまだ2年目の選手ですからね。十分だと思うし、エースにならないと困る、実力のあるピッチャーですよ」

西武の先発陣は様変わりする。

　今井自身も2018年シーズンの内容には手応えを感じている。

「毎試合、同じ試合展開ではないですから、対策も変わってきます。そうやって、いろいろなチーム、打者を相手にして、違う流れの試合も経験できました。変化球で三振が取れた場面もあるし、三振を取るべきところ、打たせてとるべきところを考えて、メリハリをつけて投げられるようにはなったかなと思います。そういうピッチングをこれからも続けたいです。シーズン通して投げられることが先発投手の役目なので」

　来シーズンはエースの菊池雄星が抜け、日本球界で通算56勝を挙げたブライアン・ウルフの退団も決まっている。

　レギュラーシーズンの首位争いや、クライマックスシリーズでの登板など、貴重な経験を積んだ1年。近い将来、「我らがエースのターニングポイントだった」と、ライオンズファンが笑顔で振り返る日が訪れることに期待したい。