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劇場に響く「WE WILL ROCK YOU」。
フェンシング日本一決戦の超演出。 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph bySho Tamura/AFLO SPORT

posted2018/12/11 07:00

劇場に響く「WE WILL ROCK YOU」。フェンシング日本一決戦の超演出。<Number Web> photograph by Sho Tamura/AFLO SPORT

普段は演劇などを上演する東京グローブ座にて各種目の決勝が開催された。

現場は調整が難しいとの声も。

 とはいえすべてがいいことばかりか、と言えばもちろんそうではない。決勝だけを1日で集約するため、種目によっては準決勝から決勝まで2日空く。世界でも例のない方式に、選手よりも、コーチ陣から調整の難しさや改善を訴える声も上がった。

 だがその環境も含め、世界に例のない環境で戦うことこそが、真のアスリートファーストにつながる、というのは太田だけでなく強化を統括する福田佑輔強化委員長も同意見だ。

「現場の意見はもちろん賛否あります。でも僕が現役の頃はチケットが売り切れるなんてありえないことで、これだけ注目してもらえるのは本当にありがたいこと。強くなるのはもちろん大切ですが、フェンシングだけ強くなってもしょうがない。太田会長が改革を進める中で強化の体制も共有する。初めての経験、体験の中で対応力、適応能力を測るのは面白いと思いますし、人間力も問われる、いいトライだと思います」

初の賞金と、新たな刺激。

 もちろん選手に適応を強いるばかりではない。今大会から初めて優勝者に10万円の賞金と、種目ごと異なるゲームスポンサーから副賞も贈られた。選手にとってはそれも大きなモチベーションにつながるのは確かだが、与えられたものは、それだけではない。

 女子フルーレを連覇した19歳の東晟良を筆頭に、若い世代の台頭著しい中、男子サーブルは徳南、エペは見延、フルーレは藤野大樹、ベテランと呼ばれる31歳の選手たちが制した。2015年以来3年ぶり4度目の全日本王者となった藤野が言った。

「遠征や練習でも自分は刺激が少なくなる中、若手はいい刺激を受けてどんどん強くなっている。それが歯痒い時期もありました。でも、太田会長が『グローブ座で全日本選手権』という新しいモチベーションを用意してくれた。

 何よりその舞台に立ちたい、勝ちたいという気持ちがいつもより強かったし、そこで勝てたことは、東京オリンピックに向けて、僕にとっては大きな自信になりました」

【次ページ】 チケット販売もない時代を経て。

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