マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
一軍半の選手のためのFAを作ろう。
出場機会があれば輝く選手は多い。
posted2018/12/07 08:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
今年のオフも、「FA権」の行使による選手の動きがはげしいようだ。
楽天、ソフトバンク、オリックスが争奪戦を繰り広げた西武・浅村栄斗内野手が楽天に移籍すると、同じ西武・炭谷銀仁朗捕手が巨人に、やはり巨人に決まった中島宏之内野手(元・オリックス)はFAではなかったが、去就が注目されていた広島・丸佳浩外野手まで巨人への移籍が決まった。
オリックス・西勇輝投手はまだ動向を保留しているが、この原稿がアップされる頃には、もう来季の仕事場を決めているかもしれない。
プロ野球の11月、12月は“FAの季節”である。
そんな記事を眺めながら、フッと考えたことがある。たとえば、来季の巨人だ。
炭谷銀仁朗、中島宏之、丸佳浩がメンバーに加わることになれば、捕手と内野手と外野手の一軍メンバーから1人ずつこぼれてしまう選手がいるんだなぁ……。
それが誰かはわからないが、間違いなく3名の「余剰人員」が発生することになる。
努力を重ねてようやく一軍という枠に手がかかりかけたところで、その手が払われ、再びファームに甘んじる来季。そんな予感にとらわれる選手だっているはずだ。
それは競争社会の常ではあるが、そうしたことの繰り返しで、あたら伸びる芽が摘まれてしまっては、こんなにもったいなく残念なことはないだろう。
この国に乏しいのは、決して地下資源だけじゃない。こんな小さな島国だ。“人的資源”だって、そうは豊かじゃないはずだ。
花開いた大田泰示の才能。
長距離砲の大器と期待されながら、巨人での8年間ほぼファーム暮らしを続け、一昨年日本ハムに移籍した大田泰示。彼が去年と今年、2年続けて立派な成果を残したことを、心から祝福したい。
今年の4月24日、たまたま私の誕生日だったからよく覚えているのだが、日本ハム・大田泰示がオリックスのエース・金子千尋から札幌ドームに2本放り込んだ。
昨年、日本ハムへの移籍1年目に外野手のレギュラーとして118試合に出場して、打率.258、15本塁打をマーク。プロ9年目の“新天地”にして、ようやく大器の兆しを感じさせてくれた大田泰示が、日本ハム2年目、本物の開花を果たすのではないか。そんな期待の中104試合に出場し、レアード、中田翔に次ぐ14本塁打をマークして打率は前年以上の.274。
巨人での8年間とは一変、日本ハムの外野の一角を確かに占めようとしている。