マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
一軍半の選手のためのFAを作ろう。
出場機会があれば輝く選手は多い。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2018/12/07 08:00
8年目のブレイクを果たしたソフトバンクの牧原大成。過去6年の合計の2倍以上のヒットを1年で放った。
飼い殺しはなんとももったいない。
日本のような人的資源がそんなに豊かじゃない国だからこそ、余計に必要なのではないか。
あの選手は、起用すればきっと働く……。ウチなら、バリバリのレギュラーなのにもったいない……。そんな他球団のつぶやき。
一軍で使う気がないのなら、ほかの球団に出してくれ! 使ってくれれば働ける自信は十分あるんだ! そんな選手たちの叫び。
そこから、新たな戦力が見いだされ、新たなスターが現れる。そんな事例が実際にあるからだ。
なんとか2000万、というFA。
新聞で、11月23日の「広島カープ・ファン感謝デー」の様子が大きな紙面をさいて報道されていた。
「行かないで~丸!」
大福餅ほどの大きな活字が並び、ダグアウトに姿を消していく丸選手に向かって、スタンドのファンたちが懸命に手を振っている姿が胸を打つ。
中には、泣き叫びながら手を振っている女性ファンの姿もあった。
確かに、巨人は「5年30億」かもしれないが、広島の「4年17億」だって精一杯の額であろう。
ならば、こんなに「カープの丸」を懇願する街中のファンのために、思いとどまるという“選択肢”だって「あり!」ではなかったのか……と思うのは、事情を知らない私の単なる“なにわ節”なのか。
そんな途方もない金額が飛び交うFAもあれば、7~800万をなんとか2000万くらいにしたい。
そんな“切実”な願いを踏まえたFAだって、あってよいのでは。いや、なかったら不公平なのではないのか。