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イングランド代表はドイツで育つ!?
プレミアから流出する若き代表選手。
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byEtienne Garnier/L'Equipe
posted2018/11/27 08:00
アーセナルからのレンタル先・ホッフェンハイムで圧倒的活躍を見せているリース・ネルソン(右から2人目)。
全員成功するわけではないが……。
若手にとって今やヨーロッパ移籍は、奇抜な手段でも何でもない。試合に出場するための切実な選択肢である。
他方、受け入れる側のヨーロッパのクラブにとっても、イングランドの黄金世代は喉から手が出るほどに欲しい即戦力候補なのであった。もはや経験だけが成功の鍵ではない。
もちろんすべてがうまくいくわけではない。
カイルン・ハインズはこの9月に、重大な規律違反を犯してヴォルフスブルクとの契約を解除された。
ウェストハムと最年少プロ契約を結んだリース・オックスフォードは、昨シーズンのスタメン出場が1度に留まり、ブンデスリーガで英国人率の最も高いボルシアMGに移籍した。だが、そこにはトッテナムで育成された左ウィングのキーナン・ベネッツが2022年までの契約ですでに在籍していた。
イングランドに戻ったオックスフォードは、“ハマーズ(ウェストハムの愛称)”のベンチで精彩のない日々を送っている。
成功例は枚挙にいとまがない。
とはいえハインズとオクスフォードは例外であるといえる。
今日の傾向を最も象徴しているのがチェルシーからフィテッセにレンタル移籍したメーソン・マウントである。
U-19イングランド代表でヨーロッパ制覇を成し遂げたマウントは、攻撃的ミッドフィールダーとしてフィテッセで39試合に出場し14ゴールをあげた。今はフランク・ランパードが監督を務めるダービー・カウンティが、熱心に完全移籍による獲得を目指している。
イングランド人選手が環境に適応する術を持たないというのは根拠のないデマに過ぎない。
彼らがヨーロッパで活躍している事例は他にもいくらでも挙げられる。容易か否かは彼らが所属するリーグの環境にもよる。