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JCのアーモンドアイに死角はあるか。
過去から浮かぶ優勝馬の条件は……。
text by
江面弘也Koya Ezura
photograph byMasumi Seki
posted2018/11/22 07:00
牝馬三冠を達成したアーモンドアイ。JC制覇となれば3歳牝馬ながら最強の座につくことになる。
父ロードカナロアの距離適性。
牝馬三冠を勝ち取った馬は過去に4頭いるが、ジェンティルドンナ以外は牡馬相手のGIでは5着にも入れなかった。三冠戦線でも牝馬路線でも、2冠馬や三冠馬がでるクラシック世代は全体にトップクラスの層が薄いものだ。
そのなかで突出して強く、なおかつ丈夫な馬が3つのGIを勝ち抜けるのだが、同世代の牝馬を相手に楽勝してきた馬が、一流の牡馬、それも経験豊富な古馬の有形無形のプレッシャーを跳ね返すのは容易ではない。
また、オークスに勝っているとはいえ、アーモンドアイの父ロードカナロアは全勝ち星が1600m以下のスプリンターである。年上の牡馬と戦い、最後の最後にパワーとスタミナの勝負となったとき、シュヴァルグランやサトノダイヤモンドのような長い距離に実績のある強豪と競り合ってロードカナロア産駒の3歳牝馬が勝てるのか、とどうしても考えてしまう。
アーモンドアイは疑いようなく強い牝馬だ。ジェンティルドンナ級の名牝となる可能性もあるし、来年の国際レースのヒロインとなる逸材だろう。しかしそれでも、と懸命にあら探しをしながら思う。負けるとすれば今回ではないか、と。
強引にこじつけて考える!
だから、ここは強引にこじつけて考えよう。人気になった3歳牝馬が負けたとき、過去の事例から浮かびあがる優勝馬のキーワードは「前年の雪辱」と「天皇賞・秋からの巻き返し」である。
すなわち、もしアーモンドアイが初めての経験に苦しむようなことがあったとき、勝つのは昨年のジャパンカップ4着で天皇賞7着のマカヒキか、天皇賞で3、5、10着だったキセキ、ミッキーロケット、スワーヴリチャードのいずれかである──。
こう書くわたしは天皇賞に続いてキセキから買うのだろう。性懲りもなく、「3着に外国馬が突っ込んできたら……」とオッズを見ては妄想を膨らませながら。
(Number966号『第38回 ジャパンカッププレビュー 絶対女王の死角を探せ。』より)