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守銭奴が歴史、伝統、CLも脅かす、
強欲な欧州スーパーリーグ構想案。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2018/11/13 10:30

守銭奴が歴史、伝統、CLも脅かす、強欲な欧州スーパーリーグ構想案。<Number Web> photograph by Uniphoto press

CL3連覇を成し遂げたレアル・マドリー。近い将来、彼らがCLからいなくなる可能性もあり得る?

マイナークラブを置き去りに。

 FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は、スーパーリーグ出場選手の追放を辞さない構えを見せている。しかし『フットボール・リークス』による告発の中で、フィナンシャル・フェア・プレー規則の制定などで譲歩したのは、当時UEFA事務局長を務めていたインファンティーノに他ならない。

 それでも、スーパーリーグは構想のままという意見もある。その根拠は、いかに強豪同士の対決とはいえ、毎シーズン定期的に開催された時の希少性にある。今の“CLでの待望の大一番”という位置づけと比べて、観衆の興味が薄れるのではという考えだ。

 とはいえ開拓市場であるアジアのサッカーファンは、R・マドリーとバルセロナの「クラシコ」、マンチェスターの両雄やロンドンの巨頭同士による「ダービー」が、1シーズンに最低4回あっても、変わらぬ期待と興奮を胸に中継を見守ることだろう。

 だからこそ、関係者は欧州レベルの新リーグ創設実現を信じてきたはずだ。ただそれは観衆が求めているのは精鋭同士の対決だけ、というような発想で、他クラブに対して失礼千万ではある。弱小と呼ばれるクラブにも独自の歴史と熱心なサポーターが存在するし、「マイナー」扱いされる対戦も、両軍とサポーターを含む関係者にとっては十分に意義のある一戦なのだ。

オーナー陣のモラルに期待。

 ただ中立的な立場の観戦者からすると、やはり強豪とは興味のレベルが落ちるのは認めざるを得ない。筆者も11月最初の週末に試合取材を済ませた後、5日に行われたハダーズフィールド対フルハムを、敢えて観たいとは思えなかったからだ。

 試合結果をチェックしてみれば、18位と20位の対決は、両軍合わせて枠内シュートが3本のみで、勝敗を分けた1点はオウンゴール。映像確認ができないことを後悔しなかった。だが、もし土曜に行われたアーセナル対リバプールが月曜夜に開催されていたら、間違いなく録画観戦していただろうが。

「持てる者」の際限なき私利私欲が構想を生んだスーパーリーグは心情的に許し難いが、発案者は水面下で創設へと自信を深めている。

 UEFAや国内リーグは押し切られ、ファンもスーパーリーグを観る見込みが強いとなると、実現を阻止できるのは、各オーナー陣が持つ「モラル」だろうか。ビッグクラブの経営陣が、さらなる富と引き換えに、その国のサッカー界における歴史、伝統、情熱、競争性といった魅力を売り渡す行為に良心の呵責を覚えてくれれば……。

【次ページ】 “超強欲リーグ”の行く末。

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