球道雑記BACK NUMBER
悪夢のドラフト指名漏れから2年。
日本ハム3位・生田目翼と武田久。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/11/13 08:00
日本ハムは1位の吉田輝星ら、高校生を多く指名。社会人の指名は生田目だけと、即戦力としての期待は高い。
元日本ハム・武田久と出会う。
黒澤コーチの熱心な指導もあって、生田目は悪癖を徐々に解消していく。
ブルペン練習では、踏み出す方向に二本線をひいてそこから出ないような練習もした。すると、社会人2年目の今年3月、JABA東京スポニチ大会のパナソニック戦では2番手として登板し6回1安打無失点。4月のJABA岡山大会では2試合に先発し共に好投して見せるなど先発を任される機会も徐々に増えていった。
また、今年からチームに加わった元北海道日本ハムの武田久投手兼ピッチングコーチとの出会いも大きかった。
以前の生田目は、常に100点の球を投げようとストライクゾーンを9分割する考えで放っていたが、武田がプロ時代「自分は内角、真ん中、外角の3分割でしか考えて投げていなかった」という話を聞くと、そこから制球面で意識を変えた。
「100点の球じゃなくてもいいから、とりあえずコースに投げようと。そこから少しずつ低めに投げて、100点のボールが増えれば良いかなって。そこが凄く勉強になりましたね」
技術面では武田コーチからカーブを教わり、投球の幅を広げた。昨年度ほぼ実績がなかった生田目が、プロから上位指名を受けるほどの評価を得られたのはそれらも関係しているだろう。
精神面でも大きな成長が。
社会人野球で過ごしたこの2年間で、精神面でも大きな成長が見られた。
生田目といえば、気持ちの強さが前面に出た熱い投球が持ち味だが、その気持ちの強さが仇になってしまうことも以前は見られた。藪監督はこう振り返る。
「今年の都市対抗野球の一次予選でもHONDAさんに満塁ホームランとツーランを序盤に打たれて、2回でノックアウトされてしまった。このときに彼がインコースに投げたボールが、2つ相手の体に当たって、何か言われた時に言い返してしまったんですね。それで試合が終わってから、キャプテン(浦部剛史)に『そんなのカッコ悪いからやめろって』言われて、そこからは本当に彼自身が変わりましたね。
ある程度、感情をコントロールしながら投げれるようになったと言いますか、少し大人になったような気がします。まだまだ投げてアウトを獲ったら(グラブを)ポンとかやりますけど、雄叫びを上げるのとかも少なくなりましたね」