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松中信彦が語る柳田悠岐への畏敬。
「自分とは違うタイプの4番」とは。

posted2018/11/12 14:00

 
松中信彦が語る柳田悠岐への畏敬。「自分とは違うタイプの4番」とは。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

平成唯一の三冠王・松中の目に、今のホークスを背負う柳田の打撃はどのように映ったのか。

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鈴木忠平(Number編集部)

鈴木忠平(Number編集部)Tadahira Suzuki

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photograph by

Hideki Sugiyama

『今年の日本シリーズは面白かった』

 そういう声をよく聞く。

「Number」の日本シリーズ特集のため、全6戦を現地で取材したが、確かにほとんどの試合が1点を争うものになり、34年ぶりの日本一を狙うカープと、2年連続日本一がかかったホークスという球団背景の対照的なチームがお互いのスタイルをぶつけ合っていた。

 中でも特に名勝負だったと思うのはホークスの2勝1敗1分で迎えたヤフオクドームでの第5戦ではなかっただろうか。

 勝敗をタイに持ち込んで本拠地に帰りたいカープと、王手をかけたいホークス。ともに絶対に落とせないゲームだったこともあり、自慢のリリーフ陣をどんどんつぎ込み、追いつ追われつの緊迫した展開となった。

 そして、この勝負に決着をつけたのが延長10回裏、ホークスの4番・柳田悠岐が放ったサヨナラホームランだった。明らかにバットが折れたとわかる「グシャッ」という鈍い音とは裏腹に、打球は右翼のテラス席まで飛んでいった。

「彼は自分に重圧をかけない」

 今シリーズのハイライトとも言うべき場面だが、筆者が覚えているのは、それを見ていた元ホークスの4番・松中信彦さんの言葉だった。

 誌面上でこのゲームの解説を担当した松中さんと隣り合って見ていると、柳田は、お立ち台の第一声でこう言った。

「疲れてます!」

 そこまでカープの徹底した内角攻めに苦しんでいた4番打者の言葉に、スタンドのファンはどっと笑ったが、松中さんも笑っていた。

「ね、これが柳田ですよ。彼は自分に重圧をかけるタイプじゃないんです。一喜一憂するタイプじゃないんですよ」

 その笑いには、現代野球の4番打者に対する驚きも混じっていたように思えた。

【次ページ】 短期決戦の難しさを知るから。

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