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松中信彦が語る柳田悠岐への畏敬。
「自分とは違うタイプの4番」とは。
text by
鈴木忠平Tadahira Suzuki
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/11/12 14:00
平成唯一の三冠王・松中の目に、今のホークスを背負う柳田の打撃はどのように映ったのか。
“新人類”への畏敬と諦観。
平成唯一の三冠王の笑みに含まれていたものは4番像にとらわれない、理解を超えた“新人類”への畏敬と諦観だったか。
振り返ってみれば、完投した先発ピッチャーはいない。たとえエースと呼ばれる千賀滉大や大瀬良大地も5回にはマウンドを降りる。
かつてのように、エースが投げきり、相手の包囲網に苦しみながらも4番打者がここぞで打つ。そういう古き良き野球(と勝手に思っている)は、もうとっくにないのだ。
リリーバーが脚光を浴び、強肩の捕手がMVPを獲得する。そういう時代なのだ。
4番像、エース像も含めて、やはり日本シリーズは野球の「今」を映す鏡のようなものかもしれない。松中さんの複雑な気持ちが入り混じった言葉を聞きながら、そう思った。
Number965号日本シリーズ特集「鷹が撃つ」では、松中信彦氏の他にも、カープ日本一を知る大野豊氏、今季まで日本ハムの投手コーチを務めた吉井理人氏、今季限りで引退した荒木雅博氏、ヤクルト躍進の原動力となった青木宣親外野手、今季まで巨人のコーチを務めた井端弘和氏、そして、権藤博氏が各ゲームの責任解説を務めています。