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甲斐拓也、午前3時の素顔。
日本一当夜のインタビュー裏話。

posted2018/11/08 14:00

 
甲斐拓也、午前3時の素顔。日本一当夜のインタビュー裏話。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

“甲斐キャノン”による6連続盗塁刺で日本シリーズMVPとなった甲斐拓也。育成出身として初の栄誉に輝いた。

text by

中川聡(Number編集部)

中川聡(Number編集部)Sou Nakagawa

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photograph by

Nanae Suzuki

「いや、ちょっとびっくりしましたね。僕とは思えなかったので、本当に嬉しく思います」

 日本シリーズMVPに輝いた甲斐拓也捕手は、お立ち台で驚きの声を上げた。

 これでもかと走ってくるカープ自慢の機動力を封じ続け、シリーズ連続盗塁阻止記録を60年ぶりに更新。打率.143にもかかわらず、守備で日本一に貢献したという異例の評価で、大きな勲章を手にした。

 メディアも観客も“甲斐キャノン”の威力を改めて認識し、仕舞いには捕手から一塁へ牽制しただけでもどよめきが起きるほどだった。

「本当にピッチャーの方が牽制やクイックなどをすごく工夫してやってくれた結果だと思いますし、今日(第6戦で1回に田中広輔内野手の盗塁を刺した場面)も野手の方が素晴らしいタッチをしてくれたおかげだと思うので、ピッチャーの方にも野手の方にも本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

 試合後に行われた共同会見に、工藤公康監督、柳田悠岐選手会長とともに出席した甲斐選手は自らを謙遜し、チームメイトを称え続けた。

謎に包まれた甲斐を直撃。

 しかし、あの肩の強さはどこから生まれたのか、キャッチャーを始めたきっかけはなんだったのか……まだまだ知らないことばかりの、彼のインタビューを誌面に載せるべく、我々はホークスのビールかけ会場へと向かった。

 喜び冷めやらぬ様子で会場入りする選手たち。第2先発としてフル回転した武田翔太投手はスマホ片手にインスタグラムで生中継。彼が写す先にはアルフレド・デスパイネ外野手がいる。本塁打でチームを勢いづけた助っ人は痛めた左足を引きずりながらも、ゴーグル片手に気合十分の参戦だ。チームとしてこの5年間で4度経験した、いわば“恒例行事”だが、それでもこのビールの味は格別なものだろう。

 甲斐選手はというと、MVPに祝福のビールを、と言わんばかりに大量に浴びせかけられていた。報道陣からは自慢の“砲台”を見せてくれるようお願いされ、惜しげもなく見せる場面もあった。

【次ページ】 疲労困憊のはずだが笑い声。

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