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ベレーザ、不満顔で4連覇を達成。
圧倒的に高い目標と控え目な監督。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byTetsuro Kaieda
posted2018/10/30 16:30
女子サッカー界を引っ張り続けている日テレ・ベレーザ。なでしこリーグ4連覇はその象徴と言える。
「チームとしては20点くらい」
長谷川は卓越した技術とアイデアで攻撃陣を牽引。試合後、口をついて出たのは満ち足りなさだった。
「今日は焦ってうまくいかないことが多く、チームとしては20点くらいの出来」
中盤の底に位置し、阪口の抜けた穴を埋めた三浦成美は言った。
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「シーズン前半はわからないことばかりで悩みましたけど、昨年までは試合に出られても5分程度で悩みを味わうことすらできなかった。試行錯誤の末、自分のプレーを出せるようになったのは成長した部分だと感じます」
やがて復帰する阪口に叩きつける挑戦状は書き上がったと見ていいだろう。
10番を背負う籾木はケガで出遅れたが、試合を重ねるごとにパフォーマンスを上げてきた。
「イワシさん(岩清水)からは『3連覇からがスタートだよ』と言われていたので、まだまだこれからです。私はオンリーワンの存在になりたい。サッカー選手として、またひとりの人間としても」
籾木、宮澤ひなたも日々成長。
第16節の神戸戦で実施された『なでしこリーグを盛り上げよう! 5000人満員プロジェクト』。籾木が集客プロデューサーを買って出たのはその一環だ。惜しくも満員には届かなかったが、4663人もの観客を集めたのは成功と言っていい。
アカデミー育ちの選手が主力を占めるなか、星槎国際高校から加入し、レギュラーを奪取した宮澤ひなたというスーパールーキーも出現した。
「日本で一番強いチームに入り、厳しい環境で自分がどこまでやれるか試したかった。結果を出せたのは、温かく受け入れてくれた先輩たち、指導者やスタッフに恵まれたおかげです」
豊かなスピードに加え、柔軟性と強さを兼ね備える身のこなし。宮澤の突破力は今後より一層の注目を集めるに違いない。
常日頃から「選手がやってくれた」が口ぐせの永田監督は、手渡された優勝トロフィーを一刻も早くほかの誰かに回そうとし、胴上げも懸命に固辞しながら結局は空気を読まされ、観念して宙に舞った。育成畑を長く歩んだ気質ゆえか、自分が前に出るのをよしとしない。