球体とリズムBACK NUMBER
ルヴァン優勝で流れた曹監督の涙。
「湘南スタイル」の本当の意味とは。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2018/10/29 11:40
Jリーグで屈指の熱血監督、曹貴裁監督。手塩にかけた湘南で、ついに公式戦タイトルホルダーとなった。
「ゴールではなく、通過点」
彼らと同年代には現在、U-19アジア選手権に遠征している齊藤未月と石原広教がいる。このふたりも今季のベルマーレのレギュラークラスだ。名伯楽のもとに逸材が集う良い流れは、これからも続くだろう。
今季のリーグカップが始まった頃、指揮官は優勝を思い描いていなかったという。けれど、チームの加速度的な成長を肌身に感じた監督は、決勝の前に「優勝しよう、ではなく、絶対に優勝するよ」と言って選手を送り出した。最終ラインの中央で奮闘した坂圭祐も、「(ピンチはあったけど)今日はやられない気がしていました」と明かす。
彼らが確かに感じ始めていた自信は、この優勝で確信に変わっただろうか。そのひとつの答えは、残りのシーズンに判明する。現在、リーグ戦では昇降格プレーオフの16位まで勝ち点3差の13位。今週には順延された試合を含め、2試合が組まれている。優勝の余韻に浸っている時間はあまりない。
「(ルヴァンカップ優勝は)ゴールではなく、通過点。これからチームがどう変わっていくか。その責任はあります」と語った曹監督。その変化を楽しみにしているサッカーファンは、きっと多い。湘南スタイルの新たなチャプターが幕を開けた。