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欧州で奮闘するカレン・ロバートは、
なぜ木更津にクラブを創ったのか?
text by
中田徹Toru Nakata
photograph byToru Nakata
posted2018/10/30 08:00
千葉県でサッカーキャリアをスタートさせたカレン・ロバート。その感謝を行動に移している。
木更津には昭和の人情味が。
現在、千葉県1部リーグに所属するローヴァーズFCは、J3を目指している。ジュニアユース1期生は、来季、高校サッカー、クラブのユースへと上がる。木更津と印西にはフットサル施設を持っている。
フェンロのマンションで思い悩んだ日々から、わずか5年。ローヴァーズは順調に成長している。
「房総半島には結束力があると思ってます。 子どもたちを見ていても、距離感が近いのか本当に仲がいいし、よく笑う。県内北部のチームの方が強いかもしれませんが、南部の子どもたちのほうが楽しそう。さらに、ローヴァーズの子は、サッカーはまだ下手かもしれませんけど、身体能力があります。房総半島は山があり海もあって、自然の中で育っているおかげか、体が大きかったり、足が速い子が多いんです。
大人には昭和の人情味があります。僕はあまりお酒を飲まないんですが、飲み屋さんに行くんです。すると『おお、カレン、来てるんか!』って。スポンサー絡みで飲みに行ってると思われるかもしれませんが、本当に友達感覚で楽しいんですよ。そこで人を紹介してもらって、人脈が広がっていくんです。
あとは地元の少年団の指導者たち。野球のほうが盛んな土地ですが、サッカーの指導者として長年、熱い情熱を持って活動してきたんだと感じてます。大人と付き合い、子どもの可能性も見て、僕は房総半島で頑張ると決意しました。住居も木更津エリアに決めました」
世界とローカルを1人で網羅。
サッカーとは、とてつもなくインターナショナルなスポーツだ。その一方で、とてつもなくローカルであることの矛盾に魅力を感じている。
カレン・ロバートは、プレーヤーとして世界を周り、サッカークラブの代表者としては、房総半島という極めて限られた地にターゲットを絞って活動している。まさに、サッカーが持つ魅力を1人で具現化してしまったのだ。
カレンがどんどん見知らぬ人たちの中に飛び込んで、話をしていることは、軽い驚きだった。
「知らない人と会うのは苦じゃないです。房総半島は渋滞しないし、景色は綺麗だし、その土地ごとに美味しい料理がありますし。俺、営業に向いていると思いますよ。1人でベトナムに行っちゃうし」