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さすらいのFWカレン・ロバートが
イングランド7部でプレーする理由。

posted2018/10/29 08:00

 
さすらいのFWカレン・ロバートがイングランド7部でプレーする理由。<Number Web> photograph by Toru Nakata

年齢を重ねても、カレン・ロバートが醸しだす雰囲気は変わっていない。

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中田徹

中田徹Toru Nakata

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Toru Nakata

 カレン・ロバートとロンドンで会った。彼の話をじっくり聞くのはオランダリーグのVVVフェンロでプレーしていた2012年11月以来だったから、実に6年ぶりのことになる。当時、彼はこんなことを話していた。

「日本代表に入りたい。でも2014年ブラジルW杯のメンバーに入れなかったら、それ以降のサッカー人生はエンジョイです。日本に帰らず、できるだけ多くの国でプレーしたい」

 6年前から、すでにイギリスへの熱い思いも語っていた。私が「この冬、スコットランド4部リーグに降格したグラスゴー・レンジャーズを見に行くんですよ」と言ったら、「ぜひ、俺の名前を売ってきてください!」と食いついてきた。

「いや、でも、スコットランドの4部ですよ」と返しても、彼は「それでも良いんです」とイギリスへの気持ちをぶつけてきた。

 カレンは2012-13シーズンいっぱいでVVVを退団し、以降タイのスパンブリー、韓国のソウルイーランド、インドのノースイースト・ユナイテッドに所属し、今季からイングランド7部リーグのレザーヘッドでプレーしている。 色々な国でサッカーをするという夢(中でもイングランドでプレーするという夢)を叶えたわけだ。

「父(北アイルランド人。イギリス籍)の関係もありますが、一度『サッカーの母国』で評価されてみたかったんです」

電車で通う年俸200万円台の生活。

 カレンとは、彼が住むロンドン西部で待ち合わせ、一緒にバスに乗ってレザーヘッドへ向かった。日本のSuicaにあたるオイスターカードをピッと鳴らし、2階建てバスに乗った。南部のターミナル駅に着くと、今度はロンドン郊外に向かうバスに乗り換えた。ちょうど帰宅渋滞と交通事故が重なり、ロンドンから40km弱のバス移動に2時間以上かかってしまった。

「家から公共交通機関で時間をかけてサッカーに通うなんて、土浦から柏に通っていたレイソル時代(ジュニア、ジュニアユース)以来ですね。あの時は電車でしたが」

 最初は電車で通ったこともあるという。だが、バスの方が安いと気付いて移動手段を切り替えた。

「電車は片道8.4ポンド(約1240円)。一方、バスは3ポンド(約440円)。レザーヘッドはプロとアマチュアの選手が混在してます。僕はありがたいことにプロ契約ですが、週給300ポンド(約4万4100円)です。正直言って、ロンドンに住んでいてこの金額でやり繰りするのは難しい。

 ありがたいことに、日系サッカークラブ『サムライ』の会長が所有する家に住まわせてもらっているので、サッカー選手としてのお金だけで暮らせてます。なるべく貯金を切り崩すこと無く、生活していこうと思ってます」

 単純計算して年俸約230万円。これまでのキャリアで、数億円稼いだ選手の言葉とは思えぬ金銭感覚だ。

【次ページ】 「いつ最後の試合になるか分からない」

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