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欧州で奮闘するカレン・ロバートは、
なぜ木更津にクラブを創ったのか?
posted2018/10/30 08:00
text by
中田徹Toru Nakata
photograph by
Toru Nakata
ジュビロ磐田時代の2005年にJリーグ新人王に輝き、'10年末からはオランダへ渡った。
現在はイングランド7部リーグのレザーヘッドでプレーするカレン・ロバートに、転機が訪れたのは'12年夏だった。VVVフェンロのプレーヤーだったカレンは、戦力外扱いになりかかった。
「ヤバイ。このままだと半年は試合に出られなくなる」
将来のことを考える時間が増えた。そして、「千葉にサッカースクールを作ろう」と思い立った。'13年、市立船橋高時代の仲間とともに、千葉県佐倉市にサッカースクールを立ち上げた。
房総半島をターゲットに。
「僕は茨城県土浦市出身ですが、サッカーでは柏レイソルのジュニア、ジュニアユース、市立船橋でプレーし、千葉県で育てられてプロサッカー選手になることができました。一方で、僕はジュビロでプレーしたので、静岡県がどれだけ『サッカー王国』か知ってます。天然芝のピッチの数、地元テレビ局のサッカー番組、女子サッカーの強さ、市民のサッカーIQの高さ――。
育成も『千葉は良い』と言われますが、意外と僕のように県外から来ている選手が多いんです。千葉県のことを『サッカー王国』と言う方もいますが、僕は恩返しの意味も含めて、サッカーをもっと県民にアピールして、本当の『サッカー王国』にしたい。それが僕の仕事です」
千葉市にはジェフ千葉があり、柏市には柏レイソルがある中、カレンがターゲットにしたのが千葉県南部の房総半島だった。
「房総半島の土地は広いんですが、合わせても60万人ぐらいしか住んでおらず、船橋市の人口と同じぐらい。夢の面で弱く、若い人たちが千葉県北部や東京に出ていってしまう。また、ジェフ千葉でサッカーをしようにも、館山から片道2時間もかかってしまう。それで、木更津にサッカークラブを作ることで、房総半島各地から1時間で通えるようにし、この地域のシンボルにしたいと思ってます」