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さすらいのFWカレン・ロバートが
イングランド7部でプレーする理由。
text by
中田徹Toru Nakata
photograph byToru Nakata
posted2018/10/29 08:00
年齢を重ねても、カレン・ロバートが醸しだす雰囲気は変わっていない。
「いつ最後の試合になるか分からない」
カレンは今、33歳。サッカー選手としてはベテランの部類に入る。
「いつ、最後の試合になるか分かりませんので、日々精一杯プレーしています。その積み重ねが楽しみに繋がってます。でも、毎試合一生懸命やると言っても、こっちは7部リーグのチームでもカップ戦を含めると年間50試合もあるんです。そういう面でもイギリスのサッカーって凄いですよね」
レザーヘッドのスタジアム、フェッチャム・グローブに着くと、カレンがゴール前を指さした。
「見てください。あそこのピッチの盛り上がり方、すごいでしょう。シュートが弾んじゃって入らないことがあるんですよ」
確かに、ハッキリ分かる段差がゴール前にある。キャパシティは公称3400人の、瀟洒なスタジアムだ。
「見に来るのは300人から400人ぐらいかな。そんなに多くはないです。やってるサッカーはキックアンドラッシュ。ヘディングは苦手ですが、克服したい。だって、空中戦の数がものすごいんで。ここのピッチは良くないですが、下部リーグでもアウェーのスタジアムの芝生はキレイなんですよ。俺、この間、FAカップの試合でスライディングタックルしちゃいましたよ。9部のチームのピッチだったんですが、本当に滑りやすかった」
イギリスのファンは闘争心に沸く。
この1つのスイディングタックルで、チーム内の空気が変わったのだという。
「ボールを取られた後、すぐにスライディングを深く決めて奪い返したら、ベンチが『おおっ!』て沸いて、周りのチームメートも盛り上がった。ハーフタイムには『あのプレーでスイッチが入った』と言われました。
ヘディングで勝ったり、スライディングを決めたりすると燃えるのがイギリスの気質です。オランダだと1対1で華麗に抜くと盛り上がるんですが、イギリスはぶつかり合いとハート。 相手を転がしてもノーファウルみたいなノリです」