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U-19代表がグループL突破確定。
2本柱の安部裕葵、齊藤未月が復活!
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byAFLO
posted2018/10/24 18:00
U-19日本代表の“10番”安部裕葵はチーム最年長。すでに鹿島アントラーズで活躍している。
前半は安部、後半は齊藤の世界。
前半終了間近の42分。安部は寄せに来たタイ代表のCBに身体をぶつけられて倒されながらも、一瞬早くDFラインの裏へスルーパスを通した。
このタイミングで抜け出したFW斉藤光毅がGKとの1対1を冷静に沈めて、安部の2アシスト目でリードを2点に広げた。
さらに直後の44分に宮代が直接FKを沈めて、3-0として前半を終了。
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前半はまさに“安部ショー”だった。
そして後半、存在感を放ったのは齊藤だった。後半頭から齊藤の相棒は伊藤から山田康太に変わっていた。
「後半は相手が点を獲りに人数をかけてくることは分かっていた。(タイ代表は)ボールを繋ぐことが本当に上手かったし、難しさはありましたが、セカンドボールの奪い合いでは勝ることが多かったし、CBの(橋岡)大樹とは結構声を掛け合いながら、僕がどこまで前にプレスして奪いにいった方が良いのか、下がった方がいいのかを話し合いながらできました」(齊藤)
スタンド上段で聞こえた「さぼるな!」の声。
後半はタイが前線に3トップを残す形で、攻撃にウェイトを置いてきたことで、押し込まれるシーンもあったが、齊藤が中央で防波堤となって、セカンドボールを徹底して回収していった。
54分に投入されたFWスパナット・ムーンター(11番)はスピードとテクニックがあるFWで、投入直後に彼にスルーパスから抜け出されて1失点を喫してしまったが、ここからの齊藤の対応力が光った。
「11番が入って来たことで、ちょっと守備の対応は難しくなった」
スパナット(11番)のケアに意識を向けながら、試合途中、橋岡と山田を呼んで3人で話し合った。
「本当に勝ちにいくのだったら、(山田)康太を前に行かせないで、残った相手の攻撃の3枚に対して、僕らボランチ2枚でリスク管理をして、そこからもう一度奪い返してから前に行けばいい」
試合途中にもかかわらず3人で話し合った結果、それ以上崩されることは無くなった。安部も齊藤らの粘り強い守備に呼応するかのように、自陣深くまで戻って身体を張った守備を見せた。
「さぼるな!」
スタンド上段の記者席まで聞こえる声で仲間を鼓舞する齊藤と、最後まで攻守に関わり続ける安部。
この2人の個性と献身によって、試合は3-1でタイムアップの時を迎えた。