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菊池雄星がSBに打たれる理由とは。
キーワードは「カットボール」。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/10/18 11:40
エース菊池雄星で初戦を落とした西武ライオンズ。2度目の先発もありそうだが果たして。
菊池のスライダーがカモにされている。
菊池がソフトバンクに負けた試合を回想して脳裏によみがえるのは、150キロを越えるストレートを打たれたというより、今日のようなスライダーを痛打されたことの方が多い。
記憶に新しいのは今年8月24日のヤフオクドームでの試合だ。
1回に今宮健太の先頭打者本塁打で幕を開けたこのゲームでは、3回に走者をひとり置いて、4番の柳田悠岐が菊池のスライダーを捉えてバックスクリーンに放り込んで試合を決定づけた。
打った柳田から「難しいボールやったっす。もう一回やれと言われても無理。うまく反応できた」という発言が出るほどのものだ。
もうひとつ思い出すのが、昨年4月7日のメットライフドームでの試合だ。菊池は7回5安打4失点(自責点2)に抑えたが、その2失点が致命的だった。2回表、内川へのインコースを狙ったスライダーがややなかに入って左翼スタンドへ先制の本塁打、6回表にも同じボールを左翼スタンドに放り込まれた。
ソフトバンク打線は、菊池のスライダーをカモにしている。
その背景に隠されていた要素が、冒頭の川島のコメントにある。菊池のスライダーを「カットボール」と語っていることだ。
スライダーか、カットボールか。
試合後、ニュースで川島らソフトバンクナインのコメントを知った西武の捕手・炭谷銀仁朗が、驚きの表情でこう明かす。
「雄星のスライダーのことをカットボールってソフトバンクの選手たちが言っているんですよね。それだけ変化していないっていうことなんかなというのもあるし、試合前に、小久保(裕紀)さんから『雄星はカットボールを投げるのか』と聞かれたんですよ。ソフトバンクは、そういう認識なのかなと」
菊池が投げているのはスライダーではなくカットボール。この認識こそが、ソフトバンク打線が菊池に強い理由だ。