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ナポリが強い。打倒ユーベにかける
美食家アンチェロッティのレシピ。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/10/18 08:00
首位を走るユーベとは勝点6の差だが、アンチェロッティのナポリは昨季よりも進化を遂げた感がある。
宿敵に完敗の4日後、CLで。
7節での直接対決では、FWメルテンスのゴールで先制しながら退場者を出し、1-3で敗れた。9年ぶりに敵地で執拗なブーイングを受けた後、皮肉たっぷりの捨て台詞を残した。
「ここで負けたところで、次にナポリでやるときにうちが勝てばいいだけ。野次られた分、(ミラン時代にCL決勝でユーベを破った)2003年の優勝カップは格別だよ」
チームの士気を飛躍的に高めたのは、それから4日後、CLグループリーグの大一番リバプール戦だ。
90分目にFWインシーニェが右足で押し込んだ劇的ゴールで、会心の1-0勝利と勝点3をもぎ取った。
選手はとことんついていく。
リバプールは、8月初旬のテストマッチで0-5の大敗を喫し、赤っ恥をかかされた因縁の相手でもあった。引き分けに終わっていればパリSGとの対戦を残す今後の苦境が予想されていただけに、インシーニェのコメントにも熱が帯びる。
「この勝ち方は最高に嬉しい。今、ナポリは試合をやればやるほど“アンチェロッティのチーム”になっているところだ。彼はいろいろなことを変えてくれた。こうなりゃ、とことんついていくぜ」
ナポリは前任者の呪縛から脱皮した。選手の信頼も得たアンチェロッティは、新たなチーム・アイデンティティを築き上げる段階に入った。
「今、先行しているのはユーベだ。だが、我々はこれからどんどん強くなる」
深まる秋にナポリの熟成が進む。健啖家の名将は名物のピッツァ・マルゲリータやサラミで彩られた食卓で、今後の戦略を練る楽しみを味わっているにちがいない。