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ナポリが強い。打倒ユーベにかける
美食家アンチェロッティのレシピ。
posted2018/10/18 08:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
ナポリの監督アンチェロッティは舌の肥えた美食家として知られている。
バイエルン時代にはクラブハウスの厨房に入り、大量のパルミジャーノ・チーズを手ずから擦りおろしながら「パスタ・アッラ・カルボナーラはこうやって作ってほしい」とシェフに指南したほどのこだわりぶりだ。
ただ、どんなに美味しい一皿でもずっと同じ料理だけを食べ続けるわけにはいかない。食卓もサッカーも、多彩な材料とレシピが必要だ。
セリエAは開幕から2カ月、首位を走る王者ユベントスを2位ナポリが追う、昨季までと同じレース展開が固まりつつある。
耳目を集めるのはクリスティアーノ・ロナウド効果と8連勝快進撃のユーベだが、その陰で追う立場のナポリは静かに、だが着々と変革を進めている。今季のナポリはグルメの名将を迎え、明らかに昨季とは一味ちがう戦い方を始めているのだ。
予想記者泣かせのスタメン。
「我々はさまざまな変化を試している。今のところ、上手くいっていると思うがね」
アンチェロッティは開幕からの国内リーグ戦8試合とチャンピオンズリーグ2試合で、10通りのスタメンを組んだ。
4節フィオレンティーナ戦(○1-0)で5人、5節トリノ戦(○3-1)では5人、6節パルマ戦(○3-0)に至っては実に9人も前カードから先発を入れ替えながら3連勝を上げた。地元紙の予想記者が嘆くのも無理はないだろう。
何しろ昨季までサッリ監督(現チェルシー)が率いたナポリのスタメンは、下町の子供が鼻歌混じりで諳んじることができるほど同じ顔ぶれが並んでいた。
先発がどれだけ固定されていたかというと、昨季8節までのスタメン延べ88人分のうち、守護神レイナからFWインシーニェまでのレギュラー組11人による“先発占有率”は86%強にも上っていた。故障や出場停止処分でもない限り、サッリ体制下でのベンチ組の先発登用はあくまで例外扱いだった。