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「拓実、翔哉、律……勢いあるね」
原口元気がライバルを称えた理由。
posted2018/10/18 17:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Takuya Sugiyama
「マジでね、見ていて面白いなと思った。今日のスタジアムの素晴らしい雰囲気を作ったのも、若い選手たちだし。同世代で感覚が合うんじゃないかな。(南野)拓実、(中島)翔哉、(堂安)律……。みんな、勢いがあるからね」
ウルグアイを4-3で下したあと、原口元気は若い選手たちを称えていった。パナマ戦では2ゴールに絡んだが、この試合では後半42分に中島に代わってわずかな時間プレーしただけだった。
若い選手たちの活躍を褒め称える原口からは、焦りも苛立ちも感じられない。むしろ、嬉しそうですらあった。
何故だろうか。
それは原口がこの2カ月間で考えたこととも関係している。
軽い肉離れと序盤戦の困難。
ロシアW杯を終え、今シーズンからハノーファーへと移籍すると、大きな期待とともに10番を託された。しかし、思うような活躍ができないまま、2カ月弱が過ぎていった。
最初のつまずきは、右足の太ももの軽い肉離れだった。怪我が起きた原因に思い当たることはあった。怪我をした日、原口は練習の直前まで移籍と引っ越しに伴う役所の手続きをしていて、いつものような身体のケアができなかった。普段であれば、クラブハウスに練習開始時間よりも早くついて、個人的なストレッチを行う。
しかし、事務手続きの時間は自分で決められない。そうした手続きを慌ただしく片付けてから、クラブハウスへ向かった。チームがかわれば、全体練習のウォーミングアップの方法もまた変わる。本来であれば、それに合わせて普段以上に入念にストレッチもできるのだが……。
そんな状態で練習に参加すると、ボールを使ったメニューが始まってすぐに右足に違和感が走った。筋肉の怪我は、事前の入念なケアで防げる。そう考えてこれまでもケアを徹底してきただけに、悔しさを味わった。なにしろ、2014年夏にドイツへ渡ってから筋肉の怪我は初めてだった。
そこから先も困難な状況は続いた。9月22日、リーグ第4節のニュルンベルク戦で左MFとして今季初めて先発したものの、ハーフタイムで交代を命じられた。そして、その後の2試合ではベンチ入りメンバーからも外されてしまった。