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今季3勝目、成田美寿々の奇策。
キャディーの本職はトレーナー!?
posted2018/10/15 17:45
text by
藤森三奈(Number編集部)Mina Fujimori
photograph by
Takuya Sugiyama
「うちの安さん、キャディー初めてなんでよろしくお願いします」
成田美寿々は、富士通レディースでの同伴競技者に3日間ともそう挨拶した。
「安さん」とは、成田のパーソナルトレーナー、安福一貴のことだ。成田が安福にフィジカルトレーニングを見てもらうようになって4年。今年に入ってからは「日本の女子プロの中で、一番トレーニングしていると思う」と安福が言うほどストイックに、成田は安福のジムに通っている。成田がトレーニングの様子をインスタにあげると、他の選手が「あんなの無理」と言うくらいに内容はハードだ。そしてその成果は着実に出ている。
今季は6月のサントリーレディスとアースモンダミンカップで2勝をあげた。このふたつの勝利は、成田と安福、ふたりの狙い通りのものだった。
春の開幕に合わせてきた選手たちは梅雨の頃にはバテてくるはず――成田はそこに照準を合わせて身体作りに励んだ。春に勝てなかった時、安福は「焦るな、あなたの時がくるから待ちなさい」と冷静に成田を励ましてきた。
流れを変えるための、キャディー変更。
「あなたの時」はまさしく6月に来たが、8月下旬から9月にかけて3回の予選落ち、日本代表として比嘉真美子、畑岡奈紗、上原彩子と一緒に参加した10月上旬のインターナショナルクラウンでも結果が残せないなど、噛み合わない日々が続いた。
流れを変えたい、そう思った成田が出た行動が、キャディーを変えることだった。
勝つためにというより、少し気分を変えてみよう、リラックスしてゴルフしたいと思った時に頭に浮かんだのが、自分の身体のことを一番良く知っている安福トレーナーをキャディーに抜擢することだった。
安福にキャディー経験はない。ただ、トレーニングの時にいつも単に追い込むだけではなく、インターバルの際に全く違う話で笑い合ったりふざけ合ったりする安福のさじ加減や気の使い方が、成田の肌に合っていた。
'12年にプロ初優勝を成し遂げた富士通レディースという思い入れのある大会で、その切り札を使うことを決めたのだ。