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「目の前の1試合に集中するだけ」
鹿島の快進撃を支える勝利のDNA。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byItaru Chiba/AFLO
posted2018/10/06 11:00
強い鹿島アントラーズが帰ってきた。立ち返る原点があるクラブというのはこれほどまでに強いのだ。
失点後に守備陣が集まる場面が増えた。
「相手のほうが気持ちが前に出ていたし、球際だとか競り合いの部分で僕たちはまったく戦えていなかった。でも2点目を取られたあとも、慌てずにやり方を変えないでやっていこうと話をした。バラバラにならなかったことがよかった」と三竿健斗が振り返る。
最近の鹿島は、失点後の短い時間で守備陣が集まって声をかけ合う場面が増えた。カツを入れるというよりも、「このままで大丈夫だから、慌てるな」と確認する作業が多い。それが経験の浅い選手たちに落ち着きを与え、気持ちを締める機会になっている。
「いつも通りやろう」
そういうチームメイトの声で気持ちをリフレッシュできるようになってきたことが、この連勝に繋がっている。そして、連勝しているからこそ「いつも通りで、勝てる」という自信が生まれる好循環が回っている。
三竿「まずは自分が戦わないと」
「みんな慌てたり人のせいにしたりしないで、自分のミスを自分で取り返しにいっている。ミスをしても、誰かがカバーして助けるという空気がある。それぞれが助け合っているので、結束力や一体感がある。それは勝っているからこそ、生まれている部分でもあるし、勝っているからこそ、それを発揮できるんだと思う」
そう話す三竿も、まだ22歳だ。
「ハーフタイムにスンテが、『もっとやらなくちゃダメだ』と言っていて、みんながそういう想いを持っていた。ACLに優勝した経験がある選手の言葉は心に響きます。死に物狂いで戦うという気持ちがないと、優勝できないということ。
やられてから気づくのは遅かったけれど、今日の教訓があるから次はもっといい入り方ができると思います。今日の試合で、経験値が上がったと思います。まずは自分が戦わないと周りには言えない。みんなが今日そういう風に学んだはず」
三竿は日本代表候補ではあっても、国際経験が豊富とは言えない。しかしこういう試合を経験して、力に変えていくのだろう。