語ろう! 2020年へBACK NUMBER
新しい地図×土田和歌子、道下美里。
「“頑張って偉い”を超えて」
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2018/10/04 11:30
「新しい地図」が話を聞いた土田和歌子選手(左)と道下美里選手。パラ競技には知らない世界が山ほどある。
伴走者を信じているからこそ。
稲垣 仕事が多いな! 道下選手は見えないことへの怖さはないんですか?
道下 伴走者を信じているので怖さはありません。日常生活でも一緒にいる時間が長いので、阿吽の呼吸というのでしょうか。支え合う側面が強い競技なので、伴走者たちと「最強のチーム」を作ったランナーが勝つとも言えると思います。
土田 トライアスロンも同じです。例えば、水泳から自転車へのトランジションでは、ウェットスーツを脱いだり、車いすに乗り換えるのをハンドラーと呼ばれる人に手伝ってもらう。1秒が結果を左右するので、いかに息を合わせられるかが重要ですね。
香取 F1のピットインみたいですね。サポートが重要だからこそ、もしその人たちとプライベートで亀裂が入ったら大変そう。
土田 私は夫がコーチですが、意見をぶつけあいつつもなんとかなってますよ(笑)。
道下 私はリオの時にチームみんなで気合が入りすぎ、レース前に必要以上にピリピリしてしまったことがあります。お三方もコンサート前などに気分が昂ぶって、雰囲気が悪くなった経験はないんですか?
稲垣・草なぎ・香取 うーん……。
香取 直前までギクシャクしていても、カメラの前では笑顔になれるよね(笑)。
稲垣 ステージ上の立ち位置を間違えると他のメンバーから「違うよ」っていう「気」を感じることとか。
草なぎ 長い間一緒にいるから、言葉にしなくても相手の気持ちが分かるとかはありますね。ただエンターテインメントの場合、誰かの失敗が面白くなったりすることもあって。グループの中で「1番の人」よりも「ビリの人」が輝くこともあるんです。おふたりのようにギリギリのタイムを争っているわけではなく、結果的にお客さんに楽しんでもらえればOKですから。
トライアスロン? 絶対無理!
土田 コンサートや舞台では体力も必要でしょうし、そういった意味でアスリート気質をお持ちのような気がします。
稲垣 確かに舞台や映画の前に、短期集中で鍛えることはありますね。
香取 ……僕は運動は全くしないんですよ。絵描いてるだけ(笑)。2人はよく運動していてすごいよね。
草なぎ 慎吾はさ、身体のポテンシャルあるのにやらないよね。
香取 ミュージカルの稽古の時に、僕の身体を触ったトレーナーさんに、「体格も良いし、頑張ればオリンピック選手になれたと思う。今からでも始めないか?」って言われたことはありましたね。
土田 今からトライアスロンを!
香取 絶対無理! 苦しみから逃れて生きていきたいんです……。そもそも土田さんの競技用の車いすを見ると、座るスペースが狭い! 乗ってみたいけれど、僕が入ったら一生抜けなくなりますよ。
土田 身体にぴったり合わせて作ってあるので、太ることも痩せることもできないんですよ。この座面に正座して乗るんです。