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王者ゴロフキン陥落に村田諒太は?
「尚弥の感情がちょっとわかった」
posted2018/09/23 11:30
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
AFLO
絶対王者陥落―─。
米ラスベガスのT-モバイル・アリーナで15日(日本時間16日)に行われた世界ミドル級タイトルマッチでWBAスーパー、WBCの2冠を保持するガザフスタン人、ゲンナジー“GGG”ゴロフキンがメキシコのスーパースター、サウル“カネロ”アルバレスにきわどい判定で敗れ、王座から陥落した。
この試合に誰よりも熱い視線を注いでいたのがWBAレギュラー王者の村田諒太(帝拳)だろう。ミドル級の真の頂点を目指す村田はかねて自他ともに認める実力ナンバーワン、ゴロフキンをターゲットにしており、2019年に東京ドームでの対戦プランが浮上していたからである。
村田は試合後、この試合のゲスト解説を務めたWOWOW放送センターで、メディアの取材に応じた。「この結果が次の試合のモチベーションに影響を与えるか」という質問に対し、いつも通りはっきりした口調で答えた。
「次、じゃあゴロフキンとできたかといえば、それもまた違う話で、どこかで運命的なものがないとできない。逆に言うと、あのステージに上がるためにはもっと証明しなければならないものもあると思いますし、そういうふうに自分のモチベーションを持っていかないといけない」
尚弥の感情がちょっと分かった。
なんとも大人の発言であるが、少し間をおくと、いたずらっぽい表情で次のように続けた。
「ロマゴンが負けたときの(井上)尚弥のテンションの下がり方に似た感情がちょっとわかりました(笑)。まあ、尚弥のほうは具体的で、ぼくのほうはもうちょっと背伸びしなくちゃいけない存在だったので、そんなに感情はわいてこないですけどね」
ロマゴンことローマン・ゴンサレス(ニカラグア)は無敗のまま4階級制覇を達成し、WBC世界スーパー・フライ級王座に君臨していた。米老舗雑誌「リング」のパウンド・フォー・パウンド・ランキングで1位にランクされ、文字通り最強のボクサーだった。