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王者ゴロフキン陥落に村田諒太は?
「尚弥の感情がちょっとわかった」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAFLO
posted2018/09/23 11:30
“カネロ”アルバレス(右)がゴロフキンに勝利したことで、ミドル級戦線と村田諒太の動向がさらに読みづらくなった。
第3戦がなかなか決まらなければ。
ゴロフキンは今回、プロ40戦目にして初めての敗戦を喫した。きっと夜も眠れないくらい悔しい思いをしているに違いない。となれば目指すはリベンジだ。2試合続けて接戦で、しかも内容が良かったのだから、ボクシング・ビジネスの常識からいっても第3戦ということになる。
仮に第3戦が開催されるとすれば、カネロが毎年ビッグマッチを行う5月か9月が有力だ。ゴロフキンが「カネロとの再戦までは、それ以外の試合はやりたくない」と考えれば、村田の入り込む余地はしばらくない。
ただし、カネロとの第3戦がなかなか決まらなければ、ゴロフキンが別の試合を行うという選択は十分にあり得る。そのとき、カネロ戦以外で、最も高いファイトマネーを用意できるのは村田だという。対戦の可能性はなくはないのである。
2人に近づくために大事な防衛戦。
そもそも、カネロとゴロフキンの第3戦の開催を危ぶむ意見もある。今回の試合にあたり、ゴロフキンはドーピング違反でサスペンド処分を受けたカネロを執拗に批判した。さらに第1戦でカネロがアグレッシブな戦いをしなかったとして「彼は(勇敢に戦う)メキシカン・スタイルじゃ全然ない」とも繰り返し発言。プライドを痛く傷つけられたカネロの怒りは尋常ではなく、感情的な理由から第3戦は決して受けない、というのだ。
村田は10月20日(日本時間21日)、米ラスベガスで挑戦者2位のロブ・ブラント(米)と2度目の防衛戦を実施する。この試合はただ勝てばいいわけではなく「圧倒的な勝ち方をしないといけない」(本田会長)。ゴロフキン戦を引き寄せるためにも、カネロに近づくためにも、内容が問われる一戦ににるという。
カネロとGGGというツートップは健在ながら、ミドル級戦線がいま大きく動こうとしているのは間違いない。村田が世界的に主要なポジションを獲得するための正念場を迎えたと言えそうだ。