ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
王者ゴロフキン陥落に村田諒太は?
「尚弥の感情がちょっとわかった」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byAFLO
posted2018/09/23 11:30
“カネロ”アルバレス(右)がゴロフキンに勝利したことで、ミドル級戦線と村田諒太の動向がさらに読みづらくなった。
それでもゴロフキンが第一候補。
ロマゴンvs.井上はファン垂涎のドリームカードで、WBO同級王者だった井上本人がだれよりもロマゴンとの対戦を熱望していた。それが昨年3月、タイの伏兵シーサケット・ソールンビサイによもやの敗北。あのとき、村田とともにWOWOWで解説した井上は確かにショックがありありだった。
村田が井上ほど動揺していないように見えたのは、ゴロフキンの負け方が無残なものではなかったことも一因だろう。米メディアによると、第2戦もゴロフキンの勝利を支持する声が少なくなかった。ちなみに村田は「どちらに転んでもおかしくない試合」と前置きした上で、自身の採点は115-113でゴロフキンの勝利と明かした。
現地で試合を視察した帝拳ジムの本田明彦会長は「ゴロフキンの評価はまったく落ちてない。対戦する価値のある選手」と今後もGGGをターゲットの第一候補に考えていることを明かした。
カネロとの交渉が難しい理由。
ここで「なぜゴロフキンに勝ったカネロを目指さないんだ?」という疑問にも答えておく必要があるだろう。本田会長の言葉は「やってくれるなら、もちろんやりたい」。これはカネロとは交渉が難しいということを意味している。
最大の理由は、村田のアメリカにおける知名度である。人気者のカネロの対戦相手に選ばれるためには、WBA王者という肩書きだけでは物足りず、もっと存在価値を高め、アメリカで客を呼べる選手、にならなければならない。
村田も「あと2段階、3段階とステップを踏まないとカネロにはたどりつけない」と認めている。そうなると、やはり第一候補はゴロフキンということになる。
ではカネロに敗れたゴロフキンが村田戦を受ける可能性はどれくらいあるのだろうか。カネロ戦が終わってすぐの段階でゴロフキンの出方が見えず、いまは「ゴロフキン次第」(本田会長)と言うほかないという。