イチ流に触れてBACK NUMBER
イチロー、大谷翔平への思い入れ。
「サイヤング賞翌年に本塁打王を」
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKyodo News
posted2018/09/22 08:00
試合前に談笑するマリナーズのイチローとエンゼルスの大谷翔平。20歳下の大谷をイチローはどう見ているのか?
「できれば投手で対戦したい」
「日本人として、初めてホームランバッター来たな、という感じはします。今日だってちょっと(打球は)詰まりぎみだったと思うよ。あれがセンターへ行くというのはホームランバッターでしょうね、(日本から来た)初めての」
イチローには大谷に深い思い入れがある。マリナーズに電撃復帰を果たした3月7日の言葉だった。
「まだ翔平がプレーしているところを実際に見たこともないんですね。誰が見ても世界一の才能と言ってもいいんだろうと、よく聞きますし、そんな選手と対戦することというのは野球の醍醐味の1つだと思うんですね。
必ず実現させたいと思うし、できれば投手で対戦したいなと思います(笑)」
無念の思いは胸にしまいこんで。
ジョークで笑わせながらも、160キロの直球を投げる大谷との勝負は今年のメインテーマのひとつだった。だが、無情にも初対戦のわずか3日前、イチローは会長付特別補佐へと立場を変えた。
常に「最低でも50歳」までの現役を公言する。野球選手としてあり続けるための切磋琢磨は今さらここで紹介する必要もない。その男が「必ず実現させたい」と、切に願った今季の対戦。無念の思いは胸にしまいこんだままだった。
今後、大谷に期待するものは何か。課題は何なのか。メジャーで3089本もの安打を放ち、この世界で頂点を極めた日本人選手だからこそ言える言葉とは何か――。イチローに聞いた。彼は熟考を重ね、言葉を選び、答えてくれた。