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金本阪神はなぜ、優勝を逃したのか。
藪恵壹が指摘する「開幕2戦目の謎」。
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph byKyodo News
posted2018/09/21 17:00
優勝の可能性が完全消滅したヤクルト戦後の金本監督。就任3年目の今季は優勝が期待されたが、9月20日現在、借金10の最下位と低迷。
2011試合出場の日に代打でバント。
もちろん首脳陣には、鳥谷を毎試合スタメンで使わないと判断した根拠があると思います。鳥谷もそれはプロとして当然、あり得ることだと思っているでしょう。
ただ、選手に持っている力を発揮させる、持っている以上の力を出させるのか、それを半減させてしまうのかは起用法次第という側面もあると思うのです。
鳥谷にとって球団新記録となる2011試合出場の日、首脳陣は代打でバントを命じました。1点リードの9回無死一塁、バントでもおかしくない場面ですし、これはあくまで外から見ている者の見解ですが、あのシーンを見て、もう両者の関係は修復不可能なのではないか、という雰囲気を感じました。
戦力がありながらそれを使い切れなかった印象は、こういうところからきているのではないでしょうか。
球団として検証の必要がある。
俳優の渡辺謙さんが、作品において演者というのは、プロデュースする人間、ストーリーを書く人間によって左右される。つまり、それだけ起用する側の影響というのは大きいのだ、と。そういう趣旨のことを言っていたのを読んだことがあります。
タイガースの場合、あの開幕第2戦から、プレーする側とさせる側のボタンの掛け違いが始まっていたのではないかと想像してしまいます。
まだ最後まで順位はわからないでしょう。戦いは続きます。それでも「なぜ、優勝できなかったのか」ということは、球団として検証していくべきではないか、と思います。