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石川祐希は全日本に融合できるか。
世界バレー1次L、中垣内監督の意図。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byItaru Chiba
posted2018/09/18 11:30
第4戦のベルギー戦も先発で出場した石川祐希だったが、チームは1-3で敗れた。
「体を一番に考えることが必要」
「チームに一緒にいたほうが間違いなくコミュニケーションはとれますし、海外との試合経験もできますし、(ポジションを獲られる)その可能性は十分あると思っています。でも焦りはないです。そうなったらそうなったでしょうがない。自分が選択したことなので。今年無理だったら、来年、再来年(取り返す)というふうにやっていくしかない。
チーム状況的にも、長く一緒にやっている選手のほうが間違いなくやりやすいと思うので、そこに自分が途中から入って変になるぐらいなら……。そこは監督やスタッフが決めることなので、自分がどうこうは言えないですけど、そう判断されたらその判断に従うべきだと思いますし、そういう可能性もなくはない。でもそれはわかった上で、こういう時間を持つ選択をしたので、不安や焦りは感じていません」
今年のことだけを考えれば、その選択はできなかったかもしれない。しかし石川には、この先長く続くプロとしてのバレー人生がある。
「(休まずに続ければ)この先できなくなる心配もあるので、こういう判断をしました。プロになって1年目でいきなりまた怪我なんてしたらどうしようもないですし、長くやっていくためには、体を一番に考えることが必要だと思いますから」
セッターとの息が合わない場面も。
たとえ今年居場所をなくしても……という覚悟でチームを離れたが、しばらくはボールを触らずに痛みをゼロにリセットし、トレーニングで肉体を強化して万全の状態で7月に全日本に合流した石川は、すぐにチームに組み込まれた。
ただ、コンディションが万全ならすぐに点数を取れるか、勝てるかと言えば、話は別だ。バレーはつなぐスポーツ。コンビネーションや連携のわずかなズレが勝敗に影響する。
大学でもチームメイトだったセッター関田誠大とのコンビに不安はないが、藤井直伸との信頼関係はまだ構築中の段階だ。世界選手権のスロベニア戦では藤井とのコンビも合い、気持ちよくスパイクを打っていた石川だが、第4戦の対ベルギーではコンビが合わず、ブロックフォローとの連携も思うようにいかない場面があり、いらだちをあらわにした。